私傷病による病気休暇として無期契約労働者に対して有給休暇を与えるものとする一方で有期契約労働者に対して無給の休暇のみを与えるものとするという労働条件の相違が労働契約法(平成30年法律第71号による改正前のもの)20条にいう不合理と認められるものに当たるとされた事例
最高裁判所第1小法廷判決/令和元年(受)第777号、令和元年(受)第778号
令和2年10月15日
地位確認等請求事件
日本郵便・東京事件
【判示事項】 2 私傷病による病気休暇として無期契約労働者に対して有給休暇を与えるものとする一方で有期契約労働者に対して無給の休暇のみを与えるものとするという労働条件の相違が労働契約法(平成30年法律第71号による改正前のもの)20条にいう不合理と認められるものに当たるとされた事例(②事件)
【判決要旨】 私傷病による病気休暇として,郵便の業務を担当する無期契約労働者に対して有給休暇を与えるものとする一方で,郵便の業務を担当する時給制契約社員である有期契約労働者に対して無給の休暇のみを与えるものとするという労働条件の相違は,両者の間に職務の内容や当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情につき相応の相違があることを考慮しても,次の(1),(2)など判示の事情の下においては,労働契約法(平成30年法律第71号による改正前のもの)20条にいう不合理と認められるものに当たる。
(1)上記無期契約労働者に対して上記病気休暇が与えられているのは,当該無期契約労働者の生活保障を図り,私傷病の療養に専念させることを通じて,その継続的な雇用を確保するという目的によるものである。
(2)上記有期契約労働者は,契約期間が6か月以内とされており,有期労働契約の更新を繰り返して勤務する者が存するなど,相応に継続的な勤務が見込まれている。
【参照条文】 労働契約法(平30法71号改正前)20
【掲載誌】 裁判所時報1754号2頁
判例タイムズ1483号54頁
労働判例1229号58頁