違法な発言ないし指示によってX2が有する有給休暇の権利を侵害したY2の不法行為について,精神的苦 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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違法な発言ないし指示によってX2が有する有給休暇の権利を侵害したY2の不法行為について,精神的苦痛に対する慰謝料額を40万円と算定した一審の判断を変更し,60万円を支払うよう命じた例

 

大阪高等裁判所判決/平成23年(ネ)第3298号

平成24年4月6日

日能研関西ほか事件

損害賠償請求控訴事件

【判示事項】  1 労働者が,有給休暇権を具体的に行使するに当たっては,その有する休暇日数の範囲内で,具体的な休暇の始期と終期を特定して時季指定をしたときは,客観的に労基法39条5項ただし書所定の事由が存在し,かつ,これを理由として使用者が時季変更権の行使をしない限り,上記指定によって年次有給休暇が成立し,当該労働日における就労義務は消滅すると解するのが相当であるとされた例

2 被控訴人(一審被告)Y1社で教材作成や授業を担当している控訴人(一審原告)X2が有給休暇を取得しようしたところ,有給休暇の取得は望ましくないとする意思を表明してX2に有休申請を取り下げさせた直属の上司である被控訴人(一審被告)Y2の発言につき,違法性を有するものであるとされた例

3 X2が有休の取得を取り下げた日において,教材作成に関する指示を行ったY2の行為につき,本件有休申請に対する嫌がらせや懲罰としてなされた違法な行為であると認めることはできないとした一審の判断が取り消され,何ら合理的理由がないのに自己の担当業務をX2に割り当てたY2の指示を,X2に対する嫌がらせであり,X2の人格権を侵害するとされた例

4 X2を含む課員らから抗議を受けた後にY2が出した教材作成の担当に関する指示につき,X2に対する嫌がらせや報復に該当するとは認められないとした一審の判断が維持された例

5 違法な発言ないし指示によってX2が有する有給休暇の権利を侵害したY2の不法行為について,精神的苦痛に対する慰謝料額を40万円と算定した一審の判断を変更し,60万円を支払うよう命じた例

6 被控訴人(一審被告)総務部部長Y3がY1社の管理職らが出席する室長会議においてY2を擁護する発言等を行ったことにつき,X2の名誉感情を害するものであるとは認められないとしていた一審の判断が取り消され,不法行為に対する慰謝料として20万円の支払いが命じられた例

7 Y2がX2に対して行った行為について「あんなものは,私はパワハラだとは思わない。」「今後,有給休暇はよく考えてから取るように。」と発言した被控訴人(一審被告)代表者Y4の発言につき,X2の名誉感情を害するものであるとは認められないとした一審の判断が取り消され,不法行為に対する慰謝料として20万円の支払いが命じられた例

8 Y2がパワーハラスメントを行った旨の申告をY1社が受けたにもかかわらず適切な処置を行わなかった不作為があるとの主張を退けていた一審の判断が取り消され,Y1社には職場環境整備義務違反があったとされた例

9 X2が「うつ状態」になったこととY2発言との間に相当因果関係があるとは認められないとしていた一審の判断が取り消された例

10 Y1社の不法行為(職場環境整備義務違反)につき,民法715条ならびに会社法350条に基づき,慰謝料として20万円をX2に支払うよう命じられた例

【掲載誌】   労働判例1055号28頁

【評釈論文】  労働基準772号24頁