株式譲渡による企業買収の基本合意書の一方当事者がこれを破棄した場合において、信義則上の注意義務違 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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株式譲渡による企業買収の基本合意書の一方当事者がこれを破棄した場合において、信義則上の注意義務違反が認められた事例

 

東京地方裁判所判決/平成14年(ワ)第25671号

平成17年7月20日

損害賠償請求事件

【判示事項】  株式譲渡による企業買収の基本合意書の一方当事者がこれを破棄した場合において、信義則上の注意義務違反が認められた事例

 本件は、原告らが被告に対し、原告らが会社更生手続に関与して更生を終了させた富士機工電子株式会社の株式を被告に売却することによる企業買収に関し、当事者間で基本合意を締結した上で、原告らが所有していた富士機工電子株式会社の株式譲渡契約の締結に向けて交渉をしていたところ、被告がその後に上記の基本合意を撤回し、上記株式譲渡契約の締結を拒否したため、それにより原告らが損害を被ったとして、第1次的には、上記基本合意により成立した株式譲渡契約の双方予約契約について、被告が不当にもこれを撤回し株式譲渡契約を締結しない意思を明確にしたことを理由とする株式譲渡契約締結義務違反に基づき、第2次的には、基本合意書第七条の資金繰りを適切に行う義務違反に基づき、第3次的には、信義則上の注意義務違反に基づき、いずれも債務不履行を理由とする損害賠償及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成14年12月12日から各支払済みまで商事法定利率である年6分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。

【参照条文】    民法1

          民法415

【掲載誌】     判例時報1922号140頁