公共工事の請負者が,保証事業会社の保証の下に地方公共団体から前払金の支払を受け,預託金融機関に預金していたところ,工事続行が不可能となり請負契約が解除され,請負者が破産宣告を受けた場合,破産宣告後に行われた公共工事の出来高確認により地方公共団体へ返還されるべき前払金が存在しないことが確認されるまでは,前払金に係る預金払戻請求権が破産財団に帰属したものとはいえないから,預金払戻請求権と当該金融機関の請負者に対する破産債権たる貸金債権との相殺は,破産法71条1項1号の相殺禁止条項により行うことができない
名古屋高等裁判所金沢支部判決/平成21年(ネ)第32号
平成21年7月22日
【判示事項】 公共工事の請負者が,保証事業会社の保証の下に地方公共団体から前払金の支払を受け,預託金融機関に預金していたところ,工事続行が不可能となり請負契約が解除され,請負者が破産宣告を受けた場合,破産宣告後に行われた公共工事の出来高確認により地方公共団体へ返還されるべき前払金が存在しないことが確認されるまでは,前払金に係る預金払戻請求権が破産財団に帰属したものとはいえないから,預金払戻請求権と当該金融機関の請負者に対する破産債権たる貸金債権との相殺は,破産法71条1項1号の相殺禁止条項により行うことができない
【判決要旨】 公共工事の請負者が、保証事業会社の保証のもとに地方公共団体から前払金の支払を受け、預託金融機関に預金していたが、工事続行が不可能となり請負契約が解除された後、請負者が破産手続開始決定を受けた場合、破産手続開始決定後に行われた公共工事の出来高確認により地方公共団体へ返還されるべき前払金が存在しないことが確認されるまでは、前払金に係る預金払戻請求権は破産財団に帰属したものとはいえないから、当該金融機関の請負者に対する破産債権たる貸金債権との相殺は、破産法71条1項1条の相殺禁止条項により行うことができない。
【参照条文】 破産法71-1
信託法163
信託法176
公共工事の前払金保証事業に関する法律27
【掲載誌】 判例タイムズ1312号315頁
判例時報2058号65頁
金融法務事情1892号45頁