東海道新幹線鉄道における列車運行の安全を妨げる行為の処罰に関する特例法3条1号の罪と往来危険罪の関係
京都地方裁判所判決/昭和42年(わ)第1008号
昭和42年12月7日
東海道新幹線鉄道における列車運行の安全を妨げる行為の処罰に関する特例法違反、電車往来危険被告事件
【判示事項】 1、東海道新幹線鉄道における列車運行の安全を妨げる行為の処罰に関する特例法3条1号の罪と往来危険罪の関係
2、東海道新幹線の線路内に立ち入り、往来危険罪を犯した場合の罪数
【参照条文】 東海道新幹線鉄道における列車運行の安全を妨げる行為の処罰に関する特例法3
刑法45
刑法54
刑法125
【掲載誌】 下級裁判所刑事裁判例集9巻12号1555頁
判例タイムズ216号214頁
判例時報509号74頁
刑事裁判資料256号542頁
刑事裁判資料219号360頁
主 文
被告人を懲役1年8月に処する。
未決勾留日数中100日を右刑に算入する。
【解説】
昭和39年10月1日に施行された前記法律(同年法律111号)は、新幹線鉄道が時速200キロ以上の高速運転が行なわれるため、万一の事故の場合の被害の甚大さにそなえ、その安全運行を確保するため、運行の安全を妨げる行為の処罰に関して、鉄道営業法の特例等を定めたものである。
そして、同法3条は、列車の運行の妨害となるような方法で、みだりに、物件を東海道新幹線の線路上に置き、又はこれに類する行為をした者(1号)、東海道新幹線の線路内にみだりに立ち入った者(2号)を、1年以下の懲役又は5万円以下の罰金に処する旨を規定している。
右1号の罪については、同号の行為をし、列車の往来危険を生ぜしめた場合に、刑法の往来危険罪との関係が問題となるが、この点については、本号の罪と刑法の往来危険罪との関係は法条競合の関係にたち、物件放置によって列車の脱線等の具体的危険の発生する可能性のあることを認識して行為すれば、往来危険罪のみが成立し、本号の罪は往来危険罪に吸収される。
また、東海道新幹線鉄道の線路内に立ち入り、物件放置等の行為をした場合には、同法3条1号と2号の罪が成立し、両者は牽連犯ではないかとの疑問もあるが、前記学説はこれを併合罪としている(井上・前掲65頁、伊藤・前掲30頁)。
本件は、被告人が東海道新幹線の線路内に立ち入り、竹製梯子2本を軌道上に置き列車の往来の危険を生じさせた事案について、同法3条2号の罪と往来危険罪の成立を認め、両者を併合罪としたものであるが、おおむね前記学説にしたがつたものといえよう。
なお、罪数については、軽犯罪法1条32号違反の罪と鉄道営業法35条違反の罪とが併合罪であるとした最高裁昭和41・10・26決定(刑集20巻8号1014頁)が先例として参考となろう。