被告の対外的信用を害する批判を,私用メールの中で繰り返す行為は,労働者の使用者に対する誠実義務の観点からして不適切であり,会社・会社内個人の名誉の毀損(就業規則35条1項5号)に該当するとされた例
東京地方裁判所判決/平成14年(ワ)第12830号
平成15年9月22日
地位確認等請求事件
【判示事項】 1 就業規則等に特段の定めがない限り,社会通念上相当と認められる限度で,使用者のパソコン等を利用して,1日2通程度の就業時間中の私用メールを送受信しても,職務専念義務に違反するものではないとされた例
2 被告の対外的信用を害する批判を,私用メールの中で繰り返す行為は,労働者の使用者に対する誠実義務の観点からして不適切であり,会社・会社内個人の名誉の毀損(就業規則35条1項5号)に該当するとされた例
3 労働者が上司に対する批判が一切許されないというわけではなく,その動機,内容,対応等において社会通念上著しく不相当と評価される場合にのみ解雇事由となり得るものと解された例
4 原告に対する事情聴取・面談が合計5回以上行われていることや,本件解雇が懲戒解雇でなく普通解雇としてなされたものであることを考慮すると,本件解雇にいたる手続きにおいて相当性を欠く点があるとはいえないとされた例
5 就業規則上の解雇事由に該当するのは,①私用メールにおける上司への誹謗中傷,②同僚である従業員の転職斡旋行為のみであり,②の行為は背信性が低いものであるから,原告が,本件解雇時まで約22年間にわたりYのもとで勤務し,その間,特段の非違行為もなく,むしろ良好な勤務実績を上げてYに貢献してきたことを合わせ考慮すると,本件解雇が客観的合理性および社会的相当性を備えているとは評価しがたく,本件解雇は解雇権の濫用に当たり無効であるとされた例
【掲載誌】 労働判例870号83頁