年俸制の適用下で,年俸額を14で除した金額が月ごとに支払われ,2か月分の金額が賞与部分とされていた場合に,賞与額の決定に当たって正式な人事考課が行われておらず,被告Y社代表者が裁量により随意決定していたものであると認められることからすると,本件賞与は,「臨時に支払われた賃金」(労基法施行規則21条4号)ないしは「一箇月を超える期間ごとに支払われる賃金」(同条5号)に当たるものとして,時間外労働に対する割増賃金の算定基礎となる「通常の労働時間の賃金」(労基法37条1項)から除外することは相当ではないとされた例
東京地方裁判所判決/平成23年(ワ)第27761号
平成24年7月27日
残業代等請求事件
【判示事項】 1 年俸制の適用下で,年俸額を14で除した金額が月ごとに支払われ,2か月分の金額が賞与部分とされていた場合に,賞与額の決定に当たって正式な人事考課が行われておらず,被告Y社代表者が裁量により随意決定していたものであると認められることからすると,本件賞与は,「臨時に支払われた賃金」(労基法施行規則21条4号)ないしは「一箇月を超える期間ごとに支払われる賃金」(同条5号)に当たるものとして,時間外労働に対する割増賃金の算定基礎となる「通常の労働時間の賃金」(労基法37条1項)から除外することは相当ではないとされた例
2 就労日における「出退勤時刻」は労基法上の労働時間と評価しうる時間帯の開始ないし終了時刻をいうものであるから,「出退勤時刻」は「時間外労働の時間」を特定する時的要素として請求原因の一部を構成するとされた例
3 出張に伴う移動時間について,果たすべき別段の用務を命じられておらず,具体的な労務に従事していたと認めるに足る証拠がない場合には,労働時間に該当しないと判断し,納品物の運搬それ自体を出張の目的としている場合には,使用者の指揮命令下に置かれているものと評価することができるとして,労働時間に該当すると判断し,また,ツアー参加者の引率業務のサポートという具体的な労務の提供を伴っている場合には,労働時間に該当すると判断された例
4 休日労働として行われた出張中の業務につき,場所的拘束性に乏しいうえ,当該業務の実施方法,時間配分等について直接的かつ具体的な指示等を欠いていた場合には,当該業務は労基法38条の2第1項にいう「労働時間を算定し難いとき」に該当するとされ,休日労働が法定外休日であって所定労働時間の定めがなくても,同条項の趣旨を類推して「所定労働時間労働したもの」とみなされるとされた例
5 出張(事業場外労働)の前後に事業場内においても業務従事がなされた場合に,当該事業場外の労働が1日の所定労働時間の一部を用いて行われているときには,当該事業場内・外を併せて労基法38条の2第1項が適用されて「所定労働時間労働したもの」とみなされるとされた例
6 内勤業務が出張時の業務(事業場外労働)に付随する業務であるとみることができるときには,一連の業務に事業場内・外を併せて労基法38条の2第1項が適用され,他方,内勤業務が出張時の業務(事業場外労働)に付随してそれと一体のものとして行われたことを認めるに足りる証拠がないときには,当該内勤業務は別途通常の労働時間として把握計算されるべきであり,この場合の「労働時間」は労基法38条の2第1項にいう「みなし時間」と「内勤労働時間」を合算することにより算定されるとされた例
7 従業員数23,24名の広告代理店において課長・部長または部長代理の地位にあった原告Xについて,管理監督者該当性を否定して,Y社に時間外労働時間に対する割増賃金の支払いおよび付加金の支払いを命じた例
【掲載誌】 労働判例1059号26頁