商法406条ノ2による会社解散請求が認容された事例
大阪地方裁判所判決/昭和52年(ワ)第3339号
昭和57年5月12日
会社解散請求事件
【判示事項】 商法406条ノ2による会社解散請求が認容された事例
【判決要旨】 商法406条ノ3第1項に規定するようないわゆる休眠会社又はこれに準じるような会社については、発行済株式総数の十分の1以上に当たる株式を有する株主が、休眠状態の継続を是とせず、会社財産の清算を求める場合には、特段の事情のない限り、同法406条ノ2第1項2号に該当する解散事由があるというべきである。
【参照条文】 商法406の2
【掲載誌】 判例タイムズ470号195頁
金融・商事判例653号37頁
判例時報1058号122頁
【解説】
本件は、外国法人であるXとの合弁事業を営む目的で設立され、まもなく休眠化したY会社に対し、2分の1の株式を有する株主Xが、商法406条ノ2により解散請求をした事件である。
いわゆる休眠会社は、営業を行っていないにもかかわらず、その事実が商業登記簿に反映されないため、他の者の商号選択の範囲を狭め、また、会社売買の対象とされるなどの不当な目的に利用されやすい等の弊害があることから、昭和49年の商法改正により設けられた商法406条ノ3で、5年以上登記をしていない休眠会社については、一定の要件のもとに解散したものとみなすこととされた(味村・曹時27巻1号120頁参照)。
本判決は、商法406条ノ2の要件についても、このような休眠会社の弊害を指適して、会社を休眠状態のままに置くこと自体会社財産の管理方法として著しく失当であるから、同条1項2号に該当するとしたものである。