却下処分の取消請求を認容する一部判決(前判決・確定)を言い渡したが,前訴訟の判決の拘束力の判断基準時は再処分の時点であるとした事例
大阪高等裁判所判決/平成21年(行コ)第141号
平成22年9月9日
個人タクシー値下げ請求却下処分取消・一般乗用旅客自動車運送事業運賃及び料金認可申請却下処分取消等請求控訴事件
『平成23年度重要判例解説』行政法事件
【判示事項】 個人タクシー事業を営む被控訴人(原告)は,料金値下げなどを内容とする運賃及び料金変更認可の申請したが,国(被告・控訴人)が却下(前処分)にしたため,被控訴人は,却下処分の取消及び認可の義務付けを求める訴えを提起した。
原審は,却下処分の取消請求を認容する一部判決(前判決・確定)を言い渡したが,被控訴人の再度の変更申請(本件申請)に対し,控訴人は,道路運送法9条の3第2項3号の要件を充足していないとして,再び却下処分(本件再却下処分)にしたため,被控訴人は,本件再処分は前判決の拘束力に反し違法であるとして,別訴(併合)で本件再却下処分の取消と損害賠償請求を提起した。
原審は,再却下処分の取消,認可処分の義務付け,損害賠償(一部)を認容する判決をしたため,控訴人が控訴した。
控訴審は,前判決の拘束力の判断基準時は再処分の時点であり,本件処分は前判決の拘束力に反するものではないとした上で,義務付けの訴えについては,本件再却下処分が取消されるべきものでない以上,訴訟要件を欠き不適法として,控訴人の原審敗訴部分を取消し,変更認可の義務付け部分を却下し,その余の請求を棄却した。
【参照条文】 道路運送法9の3-2
行政事件訴訟法30
行政事件訴訟法33
行政事件訴訟法37の2
行政事件訴訟法37の3
特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法(平21法64号)附則
【掲載誌】 判例時報2108号21頁