被用者が使用者の事業の執行について第3者に加えた損害を賠償した場合における被用者の使用者に対する求償の可否
最高裁判所第2小法廷判決/平成30年(受)第1429号
令和2年2月28日
債務確認請求本訴,求償金請求反訴事件
【判示事項】 被用者が使用者の事業の執行について第3者に加えた損害を賠償した場合における被用者の使用者に対する求償の可否
【判決要旨】 被用者が使用者の事業の執行について第3者に損害を加え,その損害を賠償した場合には,被用者は,使用者の事業の性格,規模,施設の状況,被用者の業務の内容,労働条件,勤務態度,加害行為の態様,加害行為の予防又は損失の分散についての使用者の配慮の程度その他諸般の事情に照らし,損害の公平な分担という見地
(補足意見がある。)
【参照条文】 民法715
【掲載誌】 最高裁判所民事判例集74巻2号106頁
【解説】
1 事案の概要
(1) 本件は,トラック運転手であるX(本訴原告兼反訴被告・被控訴人・上告人)が,勤務先であったY(本訴被告兼反訴原告・控訴人・被上告人)に対し,Xが勤務中に起こした交通死亡事故につき,自ら被害者の遺族の1人に対して1500万円余りの損害賠償をしたことにより,Yに対する求償権を取得したと主張して,同額の求償を求めた事案である。
なお,Yは,別の遺族に対して損害賠償金として支払った1300万円について,Xに対して求償を求める反訴を提起していた。
(2) 事実関係の概要
Yは,全国に多数の営業所を有する貨物運送事業者であるが,事業に使用する車両全てについて任意保険に加入していなかった。Yの従業員であったXは,業務としてトラックを運転中に交通死亡事故を起こし,その被害者の遺族の1人から損害賠償請求訴訟を提起され,確定判決に従って1500万円余りの損害賠償をした。他方,Yも,別の遺族から損害賠償請求訴訟を提起され,和解により1300万円の損害賠償をした。
(3) 原審は,使用者と被用者の共同不法行為が成立する場合等を除き,被用者から使用者に求償することはできないと判断して,Xの本訴請求を棄却した。なお,Yの反訴請求についても,Yの求償権の行使は信義則上制限されるとして棄却すべきものとした。
本判決は,判決要旨のとおり判示して,原判決中,Xの本訴請求に関する部分を破棄し,同部分につき,本件を原審に差し戻した。
から相当と認められる額について,使用者に対して求償することができる。