週末帰宅型通勤をするに際し、鳶職という危険の業務に従事することに備えて、就労の前日に本件寮に帰任しようとしていた場合には、その移動は、業務に密接に関連するというべきであって、「就業に関して」行われた移動途中の本件死亡事故は、通勤災害に該当すると判断された例
秋田地方裁判所判決/平成10年(行ウ)第11号
平成12年11月10日
『平成13年重要判例解説』労働法事件
遺族給付不支給決定処分取消請求事件
【判示事項】 1 自宅から単身赴任先の寮へ向かう途中の被災につき、本来、単身赴任者らの生活の本拠は家族らの住むそれぞれの自宅であるから、単身赴任者らが、日常的には自宅を離れた「就業の場所」の近辺の「住居」から通勤しているとしても、休日等を利用して「就業の場所」と家族らの住む自宅との間を往復しているとすれば、これが反復・継続するものと認められる限り、法の定める「通勤」の定義に該当し得るとするのに妨げはないというべきであって、同自宅もまた「居住」になるとされた例
2 被災者らは、休日の前日の午後に本件工事現場を出発して自宅に戻り、就労日の前日の昼頃自宅を出て本件寮に向かう型で、過去12週間のうち、5ないし6周において自宅に帰省していることから、自宅への帰省が「反復・継続」して行われていたとされた例
3 本件寮を「就業の場所」ということはできないが、本件寮は工事現場と一体となって業務を遂行するための付帯施設であり、「就業の場所」と同視することができ、自宅から本件寮へ向かう行為は、「就業の場所」に向かうのと質的に異ならないとされた例
4 移動が「就業に関して」行われたか否かについて、特に週末帰宅型通勤と認められる場合には、日常的に日々反復して行われる通勤の場合とは異なり、長時間にわたる遠距離の通勤が前提となるのであるから、時間的な間隔などの形式的な面のみにおいて業務との密接な関連性を判断することができないというべきであり、その週末帰宅型通勤の実態に即して、その関連性を検討する必要があるとされた例
6 本件死亡事故を通勤災害に該当しないとした被告労基署長による遺族給付不支給決定処分は違法であるとして、同処分が取り消された例
【掲載誌】 労働判例800号49頁