所得税法(昭和44年改正前)63条、77条11号に規定する収税官吏の検査は憲法35条1項に違反するか
【事件番号】 最高裁判所大法廷判決/昭和44年(あ)第734号
【判決日付】 昭和47年11月22日
川崎民商事件
『昭和47年重要判例解説』憲法事件
所得税法違反事件
【判示事項】 1、刑事責任の追及を目的としない手続における強制と憲法35条1項
2、所得税法(昭和44年法律33号による改正前のもの)63条、77条11号に規定する収税官吏の検査は憲法35条1項に違反するか
3、刑事手続以外の手続と憲法38条1項
4、所得税法(昭和44年法律33号による改正前のもの)63条、77条11号・12号に規定する収税官吏の質問、検査は憲法38条1項に違反するか
【判決要旨】 1、当該手続が刑事責任追及を目的とするものでないとの理由のみで、その手続における一切の強制が憲法35条1項の保障をうけえないことにはならない。
2、所得税法(昭和44年法律33号による改正前のもの)63条、77条11号に規定する検査は、裁判官の令状を要件としなくても、憲法35条1項に違反しない。
3、憲法38条1項の保障は、純然たる刑事手続でなくても、実質上、刑事責任追及の資料収集に直接結びつく作用を一般的に有する手続には、ひとしく及ぶ。
4、所得税法(昭和44年法律33号による改正前のもの)63条、77条11号・12号に規定する質問、検査は、憲法38条1項にいう「自己に不利益な供述」の強要にあたらない。
【参照条文】 憲法35-1
憲法38-1
所得税法(昭和40年法律33号による改正前のもの)63
所得税法70
【掲載誌】 最高裁判所刑事判例集26巻9号554頁