最高裁判所第2小法廷判決/昭和53年(行ツ)第29号
【判決日付】 昭和58年6月13日
未払賃金請求事件
日本原子力研究所事件
【判示事項】 ロックアウトが違法とされた事例
【判決要旨】 日本原子力研究所の労働組合が、東海研究所における動力試験炉の連続運転に関する交替制の勤務体制の変更に反対して、24時間を3分した勤務時間帯の1つに勤務すべき組合員につき連日ストライキを実施し、これにより動力試験炉の運転が完全に停止することとなったため、日本原子力研究所はこれに対抗して右動力試験炉の管理部門に所属する組合員に対しロックアウトを行ったが、右勤務体制の変更は労働協約に違反し労働条件を不利益に変更するものであり、これに関する労使間の交渉経過からみて労働組合の態度のみを一方的に非難することはできず、また、右ストライキは目的、態様において不当又は不公正なものとはいえず、これにより同研究所の被る損失、打撃の程度もさほど大きなものではないなど、判示の事実関係のもとにおいては、使用者側が、ロックアウトの開始時においても、その後においても、著しく不利な圧力を受けるような場合であったとはいえず、右ロックアウトは、労使間の勢力の均衡を回復するための対抗防衛手段として相当性を欠き、違法である。
【参照条文】 労働組合法8
労働関係調整法7
【掲載誌】 最高裁判所民事判例集37巻5号636頁