商業法人登記の職権抹消手続における登記官の審査権限の範囲 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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最高裁判所第3小法廷判決/昭和58年(行ツ)第106号

昭和61年11月4日

商業登記抹消処分取消請求上告事件

【判示事項】    1 商業法人登記の職権抹消手続における登記官の審査権限の範囲

2 商業法人登記の職権抹消処分の取消請求訴訟において裁判所が判断の基礎とできる資料の範囲

3 任期満了により退任した理事の行つた新理事選任行為が無効であり、理事就任等の登記につき登記された事項に無効の原因があるとして右登記を職権抹消した登記官の処分が是認された事例

【判決要旨】    1 商業法人登記の職権抹消手続における登記官の審査権限は、登記簿、申請書及びその添付書類のみに基づいてするいわゆる形式的審査の範囲にとどまるものである。

2 商業法人登記の職権抹消処分の取消訴訟において、裁判所は、登記官の形式的審査権限の範囲内において登記官が採つた権限行使の適否を審理判断すれば足りるのであって、登記官の審査権限の範囲に属さない右書類以外の資料に基づいて処分の適否を判断すべきではないと解するのが相当である。

3 <略>

【参照条文】    非訟事件手続法124

          商業登記法110

          商業登記法111

          商業登記法112

          行政訴訟通則3

          民法56

          民法654

【掲載誌】     訟務月報33巻7号1981頁

          最高裁判所裁判集民事149号89頁