総債権額のうち高い比率を占める再生債権が故意の不法行為に基づく損害賠償請求権である給与所得者等再 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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総債権額のうち高い比率を占める再生債権が故意の不法行為に基づく損害賠償請求権である給与所得者等再生(予備的に小規模個人再生)の申立てについて、民事再生法25条4号所定の申立棄却事由(不誠実申立て)があるとされた事例

 

札幌高等裁判所決定/平成15年(ラ)第64号

平成15年8月12日

【判示事項】    総債権額のうち高い比率を占める再生債権が故意の不法行為に基づく損害賠償請求権である給与所得者等再生(予備的に小規模個人再生)の申立てについて、民事再生法25条4号所定の申立棄却事由(不誠実申立て)があるとされた事例

【参照条文】    民事再生法25

【掲載誌】     判例タイムズ1146号300頁

【解説】

 1 本件は,相手方がした給与所得者等再生(予備的に小規模個人再生)の申立て(以下「本件申立て」という。)について,給与所得者等再生による再生手続を開始した原審に対し,再生債権者である抗告人が,本件申立てには,民事再生法25条4号所定の申立棄却事由(不誠実申立て)があるとして即時抗告をした事案である。

 2 本決定は,抗告人の相手方に対する再生債権が故意の不法行為に基づく損害賠償請求権であると認定したうえで,相手方提出の債権者一覧表によれば,総債権額は554万円余であり,抗告人の相手方に対する再生債権の比率が約60パーセントであって,総債権額のうち高い比率を占める再生債権が故意の不法行為に基づく損害賠償請求権であることその他本件に顕れた事情に照らすと,本件申立てには,民事再生法25条4号所定の申立棄却事由があるとして,原審を取り消し,本件申立てを棄却した。

 故意の不法行為に基づく損害賠償請求権は,破産免責手続においては,破産債権であっても非免責債権である(破産法366条の12第2号)のに対し,再生手続では,再生債権にすぎないから,再生計画認可の決定が確定すると,再生計画の定めに従い権利変更されることになる(民事再生法178条以下,232条,244条)。また,給与所得者等再生においては,再生債権者は,議決権を有せず,再生計画案の認可について意見を述べることができるにとどまり(同法240条),裁判所は,不認可事由のない限り,再生計画認可の決定をすることになる(同法241条)。したがって,特に給与所得者等再生では,破産免責手続においては免責されない故意の不法行為に基づく損害賠償請求権の大幅な減額を主たる目的として,再生手続開始の申立てがされるおそれがある。以上を前提として,本決定は,本件申立てについて,民事再生法25条4号所定の申立棄却事由があるとしたものと解される。