使用者が労働者に出向を命ずるに当たっては,当該労働者の同意その他出向命令を法律上正当とする明確な | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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使用者が労働者に出向を命ずるに当たっては,当該労働者の同意その他出向命令を法律上正当とする明確な根拠を要するというべきであるとされた例

 

東京地方裁判所判決/平成24年(ワ)第14574号

平成25年11月12日

リコー事件

『平成26年重要判例解説』労働法事件

地位確認等請求事件

【判示事項】    1 使用者が労働者に出向を命ずるに当たっては,当該労働者の同意その他出向命令を法律上正当とする明確な根拠を要するというべきであるとされた例

2 被告Y社の就業規則には異動(出向を含む)を命ずる場合がある旨の定めがあり,国内派遣社員規定にも,出向先における労働条件および処遇について配慮する内容の規定が設けられ,加えて,原告Xらの職種や職務内容に関し特段の限定がなく,Xらは,入社に際し,就業規則その他服務に関する諸規則を遵守し人事異動命令に従うことなどを約束する誓約書を差し入れていること,訴外F社が出向先として予定されていること等も合わせ鑑みれば,労働者の個別の同意に代わる明確かつ合理的な根拠があるとされた例

3 F社における作業は立ち仕事や単純作業が中心で,それまで一貫してデスクワークに従事してきたXらのキャリアや年齢に配慮した異動とはいいがたく,身体的にも精神的にも負担が大きい業務であることが推察され,本件出向命令は,退職勧奨を断ったXらが翻意し,自主退職に踏み切ることを期待して行われたものであって,人選の合理性(対象人数,人選基準,人選目的等)を認めることもできないから,本件出向命令が人事権の濫用として無効とされた例

4 使用者のした出向命令が人事権の濫用に当たるとしても,そのことから直ちに当該出向命令が不法行為に該当するわけではなく,当該出向命令の内容,発令に至る経緯,労働者が被る不利益の内容および程度等を勘案して不法行為該当性の有無を判断すべきであるとして,不法行為該当性が否定された例

5 退職勧奨は,勧奨対象となった労働者の自発的な退職意思の形成を働きかけるための説得活動であるから,説得活動のための手段および方法が社会通念上相当と認められる範囲を逸脱しない限り,使用者による正当な業務行為としてこれを行いうるとされた例

【参照条文】    労働契約法8

          労働契約法14

【掲載誌】     判例時報2210号113頁

          労働判例1085号19頁