肥料製造工場の排出される煤煙により養鶏場の鶏の産卵量が減少したことにつき、右工場の経営会社に公害 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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肥料製造工場の排出される煤煙により養鶏場の鶏の産卵量が減少したことにつき、右工場の経営会社に公害防止協定違反の債務不履行があるとして損害賠償責任が認められた事例

 

山口地方裁判所岩国支部判決/平成2年(ワ)第154号

平成13年3月8日

損害賠償請求事件

【判示事項】    肥料製造工場の排出される煤煙により養鶏場の鶏の産卵量が減少したことにつき、右工場の経営会社に公害防止協定違反の債務不履行があるとして損害賠償責任が認められた事例

【参照条文】    民法415

          民法416

          民法709

【掲載誌】     判例タイムズ1123号182頁

       主   文

 1 被告有限会社柳井コレクト・サービスは、原告新田幸子に対し金893万0416円及びこれに対する平成2年12月7日から支払済みまで年5分の割合による金員を、その余の原告らに対し、それぞれ、金223万2604円及びこれに対する同日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

 2 原告らの被告有限会社柳井コレクト・サービスに対するその余の請求並びに被告柳井市及び被告山口県に対する請求をいずれも棄却する。

 3 訴訟費用は、原告らに生じた費用を4分し、その3と被告柳井市及び被告山口県に生じた費用を原告らの負担とし、原告らに生じたその余の費用と被告有限会社柳井コレクト・サービスに生じた費用を同被告の負担とする。

 4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。

【解説】

1 訴外Aは、昭和47年11月頃から、柳井市内の養鶏団地において、養鶏業を営んでいた者であるが、Yは、昭和58年に、右団地内に肥料製造工場を建設し、肥料製造を開始した。

 しかし、工場から排出される悪臭を伴う煤煙のため鶏の産卵量が低下し、鶏が死亡するという被害が発生したため、柳井市の仲介により、昭和60年7月、AとYとの間で、被害防止協定1本件協定1が締結されたが、Yが本件協定を遵守しないため、Aの相続人であるXらが、Yに対し、本件協定の不履行を理由として、損害賠償を請求した。

 これに対し、Yは、昭和60年7月に、排煙塔洗浄措置を設置し、これにより煤煙・悪臭の大半が除去されることになったため、Xらが主張するような損害が発生することはあり得ないなどと主張した。

2 本判決は、まず、Yは、本件協定によって、Aに対し、肥料製造工場から発生する悪臭物質を除去する施設を設置し、これにより悪臭物質を極力除去した上で煙を排出すること、この悪臭が養鶏に相当程度の支障を及ぼす濃度に達し、Aから操業停止を求められた場合には、操業を停止することを約したことが推認されるとした。

 そのうえ、本判決は、昭和60年10月頃には、工場からの悪臭物質がAの養鶏に相当程度の支障を及ぼす濃度に達し、Aから再3操業の停止を求められたにもかかわらず、Yは操業を停止しなかったのであるから、本件協定不履行の責任は免れないとした。

 そして、本判決は、悪臭を伴う煤煙排出と鶏卵の産卵量の滅少との間の相当因果関係を認め、Xらの本訴請求を認容した。