戸籍事務の民間委託が,労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律24条の2に違反するとされた事例
東京地方裁判所判決/平成27年(行ウ)第24号
平成31年3月1日
公金支出金返還等請求事件
【判示事項】 1 戸籍事務の民間委託が区民のプライバシー権を侵害するとはいえないとされた事例
2 戸籍事務の民間委託が戸籍法に違反するとはいえないとされた事例
3 戸籍事務の民間委託が,労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律24条の2に違反するとされた事例
4 戸籍事務の民間委託が,労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律24条の2に違反するものであったが,業務委託契約が私法上無効であるとはいえず,これに基づく支出命令が財務会計法規上の義務に違反するものでないとされた事例
【参照条文】 憲法13
戸籍法1-1
労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律24の2
地方自治法242の2-1
競争の導入による公共サービスの改革に関する法律34-1
【掲載誌】 判例タイムズ1475号101頁
【解説】
1 事案の概要
本件は,Y’(足立区)の住民であるXらが,Y’が民間事業者Zとの間で締結した戸籍事務の民間委託に係る契約(本件委託契約)は,Xらのプライバシーを侵害し,地方自治法,戸籍法,労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(労働者派遣法)等に違反する違法・無効なものであるから,これに基づくZへの委託料の支出命令は違法な公金の支出であると主張して,Y’の執行機関であるY(足立区長)に対し,①地方自治法242条の2第1項1号に基づき,戸籍事務の業務委託に関する一切の公金の支出,新たな契約の締結又は債務その他の義務の負担の差止めを求め,②同項4号本文に基づき,上記支出命令に係る当該職員であるYに対して,本件委託契約に基づきY’がZに対して支出した平成25年12月分から平成27年1月分までの委託料合計2億3500万4500円と同額の損害賠償の請求(遅延損害金の請求を含む。)をすることを求め,③同号本文に基づき,上記委託料を受領したZに対して,上記と同額の不当利得返還の請求(利息の請求を含む。)をすることを求める住民訴訟である。