地方公共団体が設置する廃棄物処理場における労働安全衛生法所定の義務の不履行に係る事案において,廃 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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地方公共団体が設置する廃棄物処理場における労働安全衛生法所定の義務の不履行に係る事案において,廃棄物処理場の「所長」の立場にあった被告人について,廃棄物処理場の代表者として両罰規定の適用があるとした原判決の認定には誤りがあるとして,これが破棄され,地方公共団体の職員として両罰規定の適用があるとされた事例

 

東京高等裁判所判決/平成19年(う)第627号

平成19年10月3日

労働安全衛生法違反事件

【判示事項】    地方公共団体が設置する廃棄物処理場における労働安全衛生法所定の義務の不履行に係る事案において,廃棄物処理場の「所長」の立場にあった被告人について,廃棄物処理場の代表者として両罰規定の適用があるとした原判決の認定には誤りがあるとして,これが破棄され,地方公共団体の職員として両罰規定の適用があるとされた事例

【判決要旨】    本件における「事業者」について検討すると,廃棄物の処理及び清掃に関する法律第6条の2によれば,市が,廃棄物の収集,運搬及び処分の責務を負っている。また,市の条例等によれば,焼却場である清掃センターは,市の市民生活部の課として扱われている組織であり,市の一部門にすぎず,労働安全衛生法上の「事業者」とはなり得ない。

被告人は,市の組織上,課長職相当の地位にあり,労務管理,安全管理等に当たり,自ら,あるいは上司である市民生活部長等しかるべき立場の者に働きかけるなどして,その権限及び責任を全うする義務を果たすべきであったということができる。

そうすると,被告人は,「従業者」として,職員の労務管理,安全管理等に関する権限を有し,かつ,直接又は部下の係長を通じて,執務環境の保持,事業における危害防止を図る責任を負っていたというべきである。

原判決が,清掃センターを労働安全衛生法における主たる義務者である事業者としてごみの処理業務等を行う主体ととらえ,被告人をその主体の代表者として「業務を統括していた者」であるとしたのは事実誤認であり,これらの事実誤認は構成要件的評価に影響を及ぼすものであるから,判決に影響を及ぼすことが明らかであって,破棄を免れない。

【参照条文】    労働安全衛生法21

          労働安全衛生法119

          労働安全衛生法122

          労働安全衛生規則519

【掲載誌】     高等裁判所刑事裁判速報集平成19年324頁

          東京高等裁判所判決時報刑事58巻1~12号87頁