準強制わいせつ被告事件において保釈を許可した原々決定を取り消して保釈請求を却下した原決定に刑訴法 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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準強制わいせつ被告事件において保釈を許可した原々決定を取り消して保釈請求を却下した原決定に刑訴法90条,426条の解釈適用を誤った違法があるとされた事例

 

最高裁判所第3小法廷決定/平成27年(し)第223号

平成27年4月15日

『平成27年重要判例解説』刑事訴訟法事件

保釈許可決定に対する抗告の決定に対する特別抗告事件

【判示事項】    準強制わいせつ被告事件において保釈を許可した原々決定を取り消して保釈請求を却下した原決定に刑訴法90条,426条の解釈適用を誤った違法があるとされた事例

 

【参照条文】    刑事訴訟法90

          刑事訴訟法411

          刑事訴訟法426

          刑事訴訟法434

【掲載誌】     最高裁判所裁判集刑事316号143頁

          裁判所時報1626号121頁

          判例タイムズ1414号152頁

          判例時報2260号129頁

【解説】

 1 本件は,1審で審理中の準強制わいせつ被告事件について,保釈請求を認めた原々決定を取り消し,保釈請求を却下した原決定に対して特別抗告が申し立てられたところ,特別抗告審が原決定を取り消し,保釈を許可した原々決定を是認した事案である。

 2 本件公訴事実の要旨は,柔道整復師の資格を有し,予備校理事長の職にあった被告人が,平成25年12月30日午後4時頃から同日午後5時15分頃までの間,予備校2階にある接骨院内において,予備校生徒である当時18歳の女性に対し,同女が被告人の学習指導を受ける立場で抗拒不能状態にあることに乗じ,施術を装い,その胸をもみ,膣内に指を挿入するなどのわいせつな行為をしたというものである。

 被告人は,第1回公判期日において,「被告人と被害者が2人で犯行場所とされる部屋に入った事実はなく,公訴事実記載の行為は一切していない」旨述べて公訴事実を争い,第2回公判期日において,被害者の証人尋問が実施され,被害者は公訴事実に沿う証言をした。また,その後の審理予定として,弁護人は,被告人質問のほか,犯行現場の使用状況等に関し,被害者証言を弾劾する趣旨で,本件当時,本件予備校に通っていた元生徒1名の証人尋問を請求する方針を示していた。

 3 原々決定は,第2回公判期日後に,保証金額を300万円と定め,被害者,上記元生徒及び本件予備校関係者らとの接触を禁止するなどの条件を付した上,被告人の保釈を許可した。

 検察官が抗告を申し立てたところ,原決定は,弁護人が請求を予定している元生徒の証人尋問が未了であり,本件予備校理事長の職にあった被告人が,上記元生徒ら関係者に働き掛けるなどして罪証を隠滅することは容易で,その実効性も高いと指摘し,被告人の保釈を許可した原々決定を取り消した。

 4 本決定は,特別抗告の趣意は適法な抗告理由に当たらないとした上で,職権で,受訴裁判所として,被害者の証人尋問が終了したという審理状況やその時点では被告人による罪証隠滅のおそれはそれほど高度のものとはいえないと判断し,保釈の必要性,前科がないこと,逃亡のおそれが高いとはいえないことなども勘案して「裁量保釈を許可した原々審の判断は不合理なものとはいえず,原結果を踏まえ,罪証隠滅の可能性,実効性の程度を具体的に考慮した上で,現決定は,原々審の判断が不合理であることを具体的に示していない」と説示し,原決定には,刑訴法90条,426条の解釈適用を誤った違法があるとした。