患者が疫痢で死亡したことにつき,看護指導上の過失を否定し,問診によって既往症を知り,これを比較することができたとしても,その後の診察において疫痢の疑をもち得たかどうか,又,事後の症状の急変悪化を予見し得たかどうかは直ちに結論を出し難く,患者の既往症に関する問診を怠ったとの一事をもって,右患者の死亡に因果関係を有する過失とすることはできないとした事例
最高裁判所第2小法廷/昭和33年(オ)第142号
昭和37年1月19日
慰藉料請求
【判示事項】 患者が疫痢で死亡したことにつき,看護指導上の過失を否定し,問診によって既往症を知り,これを比較することができたとしても,その後の診察において疫痢の疑をもち得たかどうか,又,事後の症状の急変悪化を予見し得たかどうかは直ちに結論を出し難く,患者の既往症に関する問診を怠ったとの一事をもって,右患者の死亡に因果関係を有する過失とすることはできないとした事例
【判決要旨】 診察時に患者が嘔吐、下痢、発熱39度5分、扁桃腺腫赤の症状を呈していたが浣腸を施し検便の結果、粘液、膿汁、血液が発見されず脳症状も現れていなかった場合においては、いまだ疫痢を疑う段階になかったものというべく、事後患者の症状が疫痢に急変する予想のもとに附添人に看護上特別の指導を与えなかったとしても、当該医師に過失はない。
【参照条文】 民法709
民法711
医師法23
【掲載誌】 最高裁判所裁判集民事58号151頁