運送事業等を業とする会社の事務職員であり,悪性胸膜中皮腫を発症して死亡した男性について,石綿を原 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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運送事業等を業とする会社の事務職員であり,悪性胸膜中皮腫を発症して死亡した男性について,石綿を原料とする製品の製造等を業とする会社の工場に常駐して作業をし,同作業中に石綿粉じんにばく露する機会があったと認められた事例

 

大阪地方裁判所判決/平成20年(ワ)第1761号

平成23年3月30日

損害賠償請求事件

【判示事項】    1 運送事業等を業とする会社の事務職員であり,悪性胸膜中皮腫を発症して死亡した男性について,石綿を原料とする製品の製造等を業とする会社の工場に常駐して作業をし,同作業中に石綿粉じんにばく露する機会があったと認められた事例

2 従業員の上記石綿粉じんばく露と,悪性胸膜中皮腫の発症・死亡との間に相当因果関係が認められた事例

3 従業員と直接の雇用関係がない石綿製品製造会社との間において,雇用関係に準じる社会的接触の関係があったとして,石綿製品製造会社の当該従業員に対する安全配慮義務違反が認められた事例

4 昭和35年のじん肺法の制定などの法令の整備状況に照らし,遅くとも,従業員が上記工場で作業に従事していた期間(昭和44年7月から昭和46年8月)には,運送事業会社及び石綿製品製造会社には,当該従業員が石綿粉じんにばく露することにより,じん肺その他の健康・生命に重大な損害が生じる危険性があることについて予見可能性があったとされた事例

5 上記2社について,石綿粉じんの発生防止措置をとる義務等を怠った安全配慮義務違反が認められた事例

6 運送事業会社における立場や法令の定め等に照らし,従業員も石綿粉じんにばく露する危険を防止又は低減する措置を取るべきであったとして,損害額が減じられた事例

【参照条文】    民法415

          民法416

          民法418

【掲載誌】     判例タイムズ1366号195頁

          判例時報2133号41頁