東京高等裁判所決定/平成5年(ラ)第989号
平成5年12月7日
訴状却下命令に対する抗告事件
【判示事項】 1、著作物の同一性保持権に基づく差止請求訴訟における訴訟物の価額
2、コンピュータ用シミュレーションゲーム・プログラムの著作者が著作物の同一性保持権に基づいてした同一性侵害行為の差止請求に係る訴えにつき、非財産上の請求として、その訴訟物の価額を算定すべきであるとした事例
【判決要旨】 1、著作物の同一性保持権は名誉権あるいは思想、表現の自由権等に類する人格権であり、経済的利益を受けることを直接の内容とする権利ではないから、これに基づく差止請求に係る訴えにおける訴訟物の価額は、著作物の同一性を保持する利益を超えて直接経済的利益を得るという特別の事情が認められない限り、いわゆる非財産権上の請求として95万円とすべきである。
2、コンピュータ用シミュレーションゲーム・プログラムの著作者が、同ゲームの登場人物についてプログラム中で設定されているデータを改変するプログラムを製造、販売するものに対し、著作物の同一性保持権に基づいてした当該改変プログラムを記憶させた記憶媒体の製造、頒布の差止めを求める請求に係る訴えにつき、当該差止請求によって得られる利益はゲーム内容の同一性保持にとどまり、それを超えて直接経済的利益を得るという特別の事情を認めることはできず、また、当該侵害行為が、同時に著作財産権を侵害する可能性があるとしても、別個の権利侵害の可能性を理由として当該請求が財産的利益を得ることを目的とするということもできないから、当該差止請求に係る訴えについては、非財産権上の請求として、その訴訟物の価額を算定すべきであるとした事例
【参照条文】 著作権法20-1
民事訴訟費用等に関する法律4-1
民事訴訟費用等に関する法律4-2
民事訴訟法22-1
【掲載誌】 知的財産権関係民事・行政裁判例集25巻3号540頁
判例時報1489号150頁