抗告人(原審・申立人)国が,被抗告人(原審・相手方)が抗告人に対してした年金支給額を変更する旨の | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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抗告人(原審・申立人)国が,被抗告人(原審・相手方)が抗告人に対してした年金支給額を変更する旨の処分取消請求事件(基本事件)を札幌地方裁判所へ移送することを申し立てた事案の抗告審。

 

札幌高等裁判所決定/平成24年(行ス)第4号

平成24年11月21日

移送申立却下決定に対する抗告事件

【判示事項】    抗告人(原審・申立人)国が,被抗告人(原審・相手方)が抗告人に対してした年金支給額を変更する旨の処分取消請求事件(基本事件)を札幌地方裁判所へ移送することを申し立てた事案の抗告審。

争点は,本件各処分に関して函館地方第三者委員会が「事案の処理に当たった下級行政機関」(行政事件訴訟法12条3項)に当たるか。原審は,同委員会は,事案の処理そのものに実質的に関与したものであるから,「下級行政機関」に当たるとして申立てを却下した。

裁判所は,厚生労働大臣は,第三者委員会の意見に法的に拘束されるものではなく,独自の権限に基づいて職権で確認等を行うこと等からすると,本件第三者委員会の行った調査・判断等が本件各処分に関し実質的に大きな影響を与え,事案の処理そのものに実質的に関与しているとは認められないとし,原決定を取り消し,基本事件を札幌地方裁判所に移送した事例

【掲載誌】     LLI/DB 判例秘書登載