納税申告手続を委任された税理士が納税者に無断で隠ぺい仮装行為に基づく過少申告をした場合に納税者本人につき国税通則法68条1項所定の重加算税賦課の要件を満たすものということはできないとされた事例
最高裁判所第3小法廷判決/平成16年(行ヒ)第86号、平成16年(行ヒ)第87号
平成18年4月25日
所得税更正処分等取消請求上告,同附帯上告事件
【判示事項】 1 納税申告手続を委任された税理士が納税者に無断で隠ぺい仮装行為に基づく過少申告をした場合に納税者本人につき国税通則法68条1項所定の重加算税賦課の要件を満たすものということはできないとされた事例
2 偽りその他不正の行為により税額を免れた国税に関し当該行為により免れた税額に相当する部分について修正申告がされたが当該国税になお更正すべき税額がある場合における国税通則法70条5項所定の期間内の更正の可否
3 納税申告手続を委任された税理士が納税者に無断で税務署職員と共謀した上で虚偽の記載をした確定申告書を提出するなどして過少申告をした場合に納税者本人に対する過少申告加算税の賦課に関し国税通則法65条4項にいう「正当な理由」があると認められた事例
【判決要旨】 1 納税申告手続を委任された税理士が納税者に無断で隠ぺい,仮装行為をして過少申告をした場合において,納税者が同税理士を信頼して適正な申告を依頼し,納税資金を交付したにもかかわらず,同税理士が上記行為をして納税資金を着服したものであり,納税者において同税理士が隠ぺい,仮装行為を行うことを容易に予測し得たということはできず,上記申告後も同税理士による上記行為を認識した事実もなく,容易に認識し得たともいえないという事情の下では,納税者に,税務相談で教示された税額よりも相当低い税額で済むとの同税理士の言葉を安易に信じ,確定申告書の確認をしなかったなどの落ち度があるとしても,同税理士の上記行為を納税者本人の行為と同視することはできず,国税通則法68条1項所定の重加算税賦課の要件を満たすものということはできない。
2 偽りその他不正の行為により税額を免れた国税に関し,当該行為により免れた税額に相当する部分について修正申告がされたとしても,当該国税になお更正すべき税額があるときは,国税通則法70条5項所定の期間内において更正をすることができる。
3 納税申告手続を委任された税理士が納税者に無断で虚偽の記載をした確定申告書を提出するなどして過少申告をした場合において,納税者が同税理士を信頼して適正な申告を依頼し,納税資金を交付していたこと,確定申告書を受理した税務署職員が収賄の上で同税理士の上記行為に共謀加担し,それがなければ上記行為は不可能であったともいえることなど判示の事情の下では,納税者本人に対する過少申告加算税の賦課に閲し,国税通則法65条4項にいう「正当な理由」があると認められる。
【参照条文】 国税通則法68-1
税理士法1
国税通則法70-5
国税通則法65-4
【掲載誌】 最高裁判所民事判例集60巻4号1728頁