John P. Heinz 、Robert L. Nelson 、Rebecca L. Sandefur (原著), その他
宮澤節生(監修訳)
449ページ
出版社: 現代人文社
5,280円
内容(「BOOK」データベースより)
アメリカの弁護士研究の原点となる書の邦訳。弁護士業務の専門分化・多様化、大企業顧客の影響力の増大、巨大会計事務所などとの競争激化。これらの変化は、弁護士、弁護士団体に何をもたらしたか。日本の弁護士の将来を考えるうえでの必読文献。
米国では、かつては独立開業・単独事務所の弁護士が多数であったが、20世紀後半以降、大規模法律事務所の企業弁護士が進出した。同時に、マイノリティや女性の弁護士増加、弁護士業務の専門分化・多様化、大企業顧客の影響力の増大、巨大会計事務所との競争激化など環境が大きく変化していく。こうした変化が弁護士や弁護士界にどのような変化をもたらしたか、実態調査に基づいて分析する。弁護士人口が増加した日本で、弁護士の将来を考えるための必読文献である。
第1部 弁護士というプロフェッション
第1章 『シカゴの弁護士』再訪
第2章 弁護士業務の性格変容 (イーサン・ミケルソンとの共著)
第3章 統合と分裂
第2部 弁護士界の階層性
第4章 威信
第5章 組織
第6章 キャリア (キャスリーン・E・ハルとの共著)
第7章 所得額と所得格差
第3部 弁護士の生活
第8章 分裂する価値観(モニク・R・ペインとの共著)
第9章 コミュニティにおける役割
第10章 弁護士界内部での人的なつながり
第11章 満足できるプロフェッションか(キャスリーン・E・ハルとエヴァ・A・ハーターとの共著)
第4部 変容
第12章 変化のプロセス
【感想】
1975年、1995年または2002年における、主にアメリカ合衆国シカゴでの調査が基になっている。
いささか古い調査だが、アメリカ合衆国において起きた社会現象は、20~30年後に日本で起きるので、日本の弁護士にとって示唆に富む。
アメリカ合衆国では人種・宗教的背景が弁護士にとっては重要であるという点は、日本では、あまり参考にならない。
しかし、日米とも、出身大学(院)とその成績が重要だという点は共通しているようだ。
また、アメリカでは証券や環境など規制の強い分野がある。これらは概してビッグビジネスが絡んでいる。アメリカの大規模ローファームでは、専門分化・大規模化に伴い、即戦力として、特定の専門分野を得意とする新人・中途採用の弁護士を必要としているという。
日米とも、M&A、労働法や税法、知的財産法、独占禁止法、金融法などの分野は既に専門化している。
日本でも、さらに、そのような専門化の傾向は強まるだろう。
また、コンサルティング・ファームなどによる浸食の動向も気になるところである。
訳者らは法社会学者だが、今後は、アメリカやEU、イギリスなどでの最新の調査結果の翻訳を期待したい。