住宅等の賃貸借契約に基づく賃料等債務に係る保証委託契約と消費者契約法12条に基づく差止等請求事件 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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大阪地方裁判所判決令和元年6月21日

消費者契約法12条に基づく差止等請求事件

【判示事項】 1 住宅等の賃貸借契約(原契約)に基づく賃料等債務に係る保証委託契約において、一定の要件のもとで賃借人が賃借物件の明渡しをしたものとみなす権限を受託保証人たる家賃債務保証業者に付与し、賃借物件内の動産類を賃貸人および家賃債務保証業者が任意に搬出・保管することに賃借人が異議を述べない旨定める条項が、消費者契約法8条1項3号に該当するものとされた事例

2 上記保証委託契約において、受託保証人である家賃債務保証業者に原契約を無催告解除する権限を付与する条項が、消費者契約法10条後段に該当しないものとされた事例

3 上記保証委託契約において、受託保証人である家賃債務保証業者による原契約の無催告解除権の行使について、賃借人等に異議がないことを確認する旨定める条項が、消費者契約法8条1項3号、10条前段に該当しないものとされた事例

4 上記保証委託契約において、受託保証人である家賃債務保証業者が保証債務を履行するに際し、賃借人に対して事前に通知する義務を免除する条項が、消費者契約法10条後段に該当しないものとされた事例

5 上記保証委託契約において、受託保証人である家賃債務保証業者が保証債務を履行した後に賃借人等に対して求償権を行使する際、賃借およびその連帯保証人において賃貸人に対して有する抗弁をもって受託保証人に対抗できないことをあらかじめ承諾する条項が、消費者契約法10条後段に該当しないものとされた事例

【判決要旨】 1 住宅等の賃貸借契約(原契約)に基づく賃料等債務に係る保証委託契約において、賃借人が賃料等の支払を2カ月以上怠り、被告において合理的な手段を尽くしても賃借人本人と連絡が取れない状況のもと、電気・ガス・水道の利用状況や郵便物の状況等から賃借物件を相当期間利用していないものと認められ、かつ、賃借物件を再び占有利用しない賃借人の意思が客観的に看取できる事情が存するときに、賃借人において賃借物件の明渡しをしたものとみなす権限を受託保証人である家賃債務保証業者に付与し、賃借人が賃借物件内に残置した動産類を賃貸人および家賃債務保証業者が任意に搬出・保管することに賃借人が異議を述べない旨定める条項は、消費者契約法8条1項3号にいう「当該事業者の不法行為により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除」する条項に該当する。

2 上記保証委託契約において、受託保証人である家賃債務保証業者に原契約を無催告解除する権限を付与する条項は、消費者契約法10条後段にいう「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」に該当しない。

3 上記保証委託契約において、受託保証人である家賃債務保証業者による原契約の無催告解除権の行使について、賃借人等に異議がないことを確認する旨定める条項は、消費者契約法8条1項3号にいう「当該事業者の不法行為により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除」する条項に該当せず、また同法10条前段にいう「法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項」に該当しない。

4 上記保証委託契約において、受託保証人である家賃債務保証業者が保証債務を履行するに際し、賃借人に対して事前に通知する義務を免除する条項は、消費者契約法10条後段にいう「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」に該当しない。

5 上記保証委託契約において、受託保証人である家賃債務保証業者が保証債務を履行した後に賃借人に対して求償権を行使する際、賃借人およびその連帯保証人において賃貸人に対して有する抗弁をもって受託保証人に対抗できないことをあらかじめ承諾する条項は、消費者契約法10条後段にいう「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」に該当しない。

【参照条文】 消費者契約法8

       消費者契約法10

       消費者契約法12-3

【掲載誌】  金融・商事判例1573号8頁

       金融法務事情2124号48頁