株式会社が株主総会の決議等を経ることなく退任取締役に支給された退職慰労金相当額の金員につき不当利得返還請求をすることが信義則に反せず権利の濫用に当たらないとした原審の判断に違法があるとされた事例
最高裁判所第2小法廷判決平成21年12月18日
【判示事項】 株式会社が株主総会の決議等を経ることなく退任取締役に支給された退職慰労金相当額の金員につき不当利得返還請求をすることが信義則に反せず権利の濫用に当たらないとした原審の判断に違法があるとされた事例
【判決要旨】 株式会社が退任取締役に対し株主総会の決議等を経ることなく支給された退職慰労金相当額の金員につき不当利得返還請求をする場合において、①当該会社では発行済株式総数の99%以上を保有する代表者が内規に基づく退職慰労金の支給を決裁することにより株主総会の決議に代えてきた、②退任取締役が上記内規に基づく退職慰労金の支給を催告したところその約10日後に上記金員の送金がされ、これにつき代表者の決裁はなかったものの、当該会社が退任取締役に対しその返還を明確に求めたのは送金後1年近く経過してからであったなど判示の事実関係のもとにおいては、代表者が上記送金をその直後に認識していた事実や退任取締役が従前退職慰労金を支給された退任取締役と同等以上の業績を上げてきた事実の有無等につき審理判断することなく、当該会社による上記請求は信義則に反せず、権利の濫用に当たらないとした原審の判断には、違法がある。
(反対意見がある)
【参照条文】 民法1-2
民法1-3
商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)269
会社法361
【掲載誌】 最高裁判所裁判集民事232号803頁