銀行の裏預金につき、相手方に相当な過失があった事案において、重大な過失を認めた原審の判断を違法とすることによって、使用者が責任を免れる「重大な過失」を認めるについては慎重であるべきことを確認した事案
最高裁判所第3小法廷判決平成6年11月22日
預金払戻請求事件
【判示事項】 信用金庫の職員に預金の名目で小切手を詐取された者が信用金庫に損害賠償を請求した場合につき右の者に重大な過失があるとした判断に違法があるとされた事例
【判決要旨】 甲が信用金庫の支店長代理乙に預金の名目で小切手を詐取されたとして信用金庫に損害賠償を請求した場合において、甲は信用金庫の店舗内で乙に預金の趣旨で小切手を交付したが、もともと正規の預金を勧誘されたものではないなど判示の事情があるときは、甲が勧誘を受けた預金の条件など勧誘から小切手の交付に至るまでの一連の過程に正常な普通預金取引としては不自然な点があったとしても、そのことのみから乙の職務権限の逸脱を知らなかったことにつき甲に重大な過失があるとした原審の判断には、民法715条(使用者責任)の解釈適用を誤った違法がある。
【参照条文】 民法715
【掲載誌】 最高裁判所裁判集民事173号347頁