最高裁判所第3小法廷判決平成25年4月12日
『平成25年重要判例解説』民法事件
イレッサ事件
損害賠償請求事件
【判示事項】 医療用医薬品に製造物責任法第2条2項に規定する「通常有すべき安全性」が欠けているか否かは、その承認に際して付される添付文書の記載内容が、副作用の内容ないし程度(その発現頻度を含む)、当該医療用医薬品の効能又は効果から通常想定される処方者ないし使用者の知識及び能力、当該添付書における副作用に係る記載の形式ないし体裁等の諸事情を総合考慮して、予見し得る副作用の危険性が処方者等に十分明らかにされているといえるか否かという観点から判断すべきものであり、抗がん剤イレッサの輸入承認時に付された添付文書に、同剤の副作用である間質性肺炎の致死性に関する記述がなくても、「通常有すべき安全性」が欠けている場合に当たらないとされた事例。
【判決要旨】 1 医療用医薬品について製造物責任法2条2項にいう「通常有すべき安全性」が確保されるためには,その引渡し時点で予見し得る副作用に係る情報が添付文書に適切に記載されているべきである。
2 医療用医薬品について製造物責任法2条2項にいう「通常有すべき安全性」が確保されるために必要な,その添付文書における副作用に係る情報の記載の適否は,当該医療用医薬品の引渡し時点で予見し得る副作用の内容ないし程度(その発現頻度を含む。),その効能又は効果から通常想定される処方者ないし使用者の知識及び能力,上記添付文書における副作用に係る記載の形式ないし体裁等の諸般の事情を総合考慮して,上記予見し得る副作用の危険性が上記処方者等に十分明らかにされているといえるか否かという観点から判断すべきである。
(1,2につき補足意見がある。)
【参照条文】 製造物責任法2-2
薬事法52
薬事法施行規則(平15厚生労働省令89号改正前)18の4の2
薬事法施行規則42-1
【掲載誌】 最高裁判所民事判例集67巻4号899頁