保証人の責任の限度を定めない身元保証契約の効力並びに身元保証法5条の法意 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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最高裁判所第2小法廷判決昭和34年12月28日

損害賠償請求事件

【判示事項】 保証人の責任の限度を定めない身元保証契約の効力並びに身元保証法5条の法意

【参照条文】 身元保証ニ関スル法律5

       民法90

【掲載誌】  最高裁判所民事判例集13巻13号1678頁

       判例時報210号19頁

       主   文

 本件上告を棄却する。

  上告費用は上告人らの負担とする。

       理   由

 上告代理人の上告理由第1点について。

(中略)

 同第2点について。

  身元保証ニ関スル法律(以下単に法律と略称する。)5条には裁判所において身元保証人の責任及びその範囲を制限すべき場合についての規定がおかれており、本件身元保証契約中に保証人の責任の限度が約定されていなくても、たゞちに保証人が無制限に損害賠償の責任を負担すべきものであるとはいえないから、本件契約は前記責任の限度に関する条項を欠いているとの1事により公序良俗に反し無効であると解すべきではない。

  また本件身元保証契約書後段に掲記の所論特約が、たとい法律3条2号の規定に反し身元保証人に不利益なものとして同六条により無効であるとしても、原審は上告人A1の臨時雇から正社員への地位の異動が法律3条2号所定の事由に当らないと判断しており、その判断は判示事実にてらして是認することができるから、右特約の無効が身元保証人たる上告人A2、同A3両名の責任になんら消長を及ぼすものでないことは明らかであり、特段の事情のない限り本件契約の爾余の部分が右特約の無効によつて無効となる理由はないというべきである。

  されば論旨はいずれも採用できない。

  同第3点について。

  法律5条の趣旨は、同条所定のような事情が訴訟に現われた資料によつて認められる場合には、裁判所は、身元保証人の損害賠償責任の有無及びその範囲を定めるについて、当事者の主張をまつまでもなく、職権をもつても右の事情を斟酌すべきものとするにとゞまり、所論のように同条所定の事情につき裁判所に職権探知を命じたものではないと解するのが相当である。いま本件についてみるに、同条にいう「身元保証人カ身元保証ヲ為スニ至リタル事由及之ヲ為スニ当リ用ヰタル注意ノ程度」について特に斟酌に値する事情は原審の認定しないところであり、またこれを認めるべき資料も存しないのであるから、この点につきなんら斟酌しなくても原判決に所論の違法はない。