取引相手である法人の代表者個人に対し取引に関する謝礼等の趣旨で支出した費用が租税特別措置法(平成14年改正前のもの)61条の4第1項にいう「交際費等」に当たるとされた事例
最高裁判所第1小法廷決定
【判決日付】 平成17年12月15日
法人税法違反被告事件
【判示事項】 取引相手である法人の代表者個人に対し取引に関する謝礼等の趣旨で支出した費用が租税特別措置法(平成14年法律第15号による改正前のもの)61条の4第1項にいう「交際費等」に当たるとされた事例
【参照条文】 法人税法22-3
租税特別措置法(平14法15号改正前)61の4-1
【掲載誌】 最高裁判所裁判集刑事288号779頁
判例タイムズ1206号184頁
主 文
本件各上告を棄却する。
理 由
被告人両名の弁護人の上告趣意のうち,判例違反をいう点は,事案を異にする判例を引用するものであって,本件に適切でなく,その余は,憲法違反をいう点を含め,実質は単なる法令違反,事実誤認,量刑不当,再審事由の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。
なお,所論にかんがみ,職権で判断する。
原判決の認定及び記録によれば,被告会社は,数十億円規模の不動産取引の相手となった株式会社の代表取締役個人に対する謝礼の趣旨で,同人に対し,その個人的利得とするため,同人以外の同社関係者に発覚しないように現金7500万円を手交し,また,上記代表取締役の個人的借金の返済資金とすべく1億2500万円を同人の銀行口座に振り込んで無担保で貸し付けた後その債務を免除し,さらに,同人の指示に従い前記会社の専務取締役に現金3000万円をひそかに手交した事実が認められる。そして,この現金3000万円も,実質は上記代表取締役個人に対する支出とみることができる。
このように,取引に関し,取引相手である法人の代表者個人に対する謝礼等の趣旨で,同個人に対して行った支出は,平成14年法律第15号による改正前の租税特別措置法61条の4第1項にいう「交際費等」に当たるというべきである。
したがって,これと同旨の原判決の判断は,正当として是認できる。
よって,刑訴法414条,386条1項3号により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。