外資系証券会社社員の解雇~USBセキュリティーズ・ジャパン事件 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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東京地方裁判所判決平成21年11月4日

USBセキュリティーズ・ジャパン事件

賞与請求事件

【判示事項】 1 被告Y社から退職勧奨および自宅待機命令を受け,その後,解雇された原告X(マネージングディレクター)がなした1億1620万円の賞与請求につき,Y社における賞与請求権は,従業員の地位に基づいて当然に何らかの基準により発生するものではなく,Y社が支給すべき金額を定めることにより初めて具体的権利として発生するものであるところ,Y社が本件賞与の支給決定をしていない以上,本件賞与の支払請求権が発生したとは認められないとして,同請求が棄却された例

2 Y社は,賞与の支給等の決定については広範な裁量を有していたのであり,Xの賞与の支給に対する期待が合理的期待として法的保護に値する場合は自ずと限定されるところ,()Xは個人では当該年度に3億円超の損失を出したこと,()Y社はXの部下管理能力を問題視していたこと,()Xに対する評価は絶対評価,相対評価ともに低かったことからすれば,Xの業績は,所属部門が同年度に20億円超の収益を上げたことを加味してもなお,Y社の要求に十分にこたえたものとはいえず,本件賞与不支給が裁量権の逸脱または濫用に当たるとは認められないとして,Xの期待権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求が棄却された例

3 退職勧奨を行うことは,不当労働行為に該当する場合や不当な差別に該当する場合等を除き,労働者の任意の意思を尊重する態様で行われるかぎり,原則として使用者の自由であり,不法行為を構成しないとされた例

4 本件退職勧奨およびその後のY社の対応に違法性は認められず,また,本件自宅待機命令はXの就労請求権を侵害するものとは認められないとして,Xの慰謝料請求が棄却された例

【掲載誌】  労働判例1001号48頁

       労働経済判例速報2059号10頁