環境影響評価(アセスメント)審議会の会議録・東京都公文書の開示等に関する条例事件 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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東京高等裁判所判決平成2年9月13日

京葉線新砂町・東京間鉄道建設事業に係る環境影響評価審議会の第一部会の審議過程を記載した会議録審議資料等の公文書非開示決定処分取消請求控訴事件

【判示事項】 1、東京都公文書の開示等に関する条例(昭和59年東京都条例第109号)9条6号所定の合議制機関等が、審議資料等の情報について同号前段により開示しない旨の定めをしたときは、その定めは、非開示の具体的根拠が明らかでないといった理由で違法無効となることはないとした事例

2、1掲記の合議制機関等が、同掲記の情報について同掲記の条例9条6号前段により開示しない旨の議決をしたときは、実施機関は、その議決の具体的根拠を問うことなく、開示を拒否すべきであるとした事例

3、公文書開示条例による情報開示請求権は、憲法や国際人権規約等から直接導き出されるものではなく、条例によって創設された権利であり、住民に権利を付与するか否か、付与するとしてその権利の内容をどのようなものにするかは、地方自治体がその制度の趣旨を考慮しつつ自主的に決する問題であるから、具体的請求権は、これを定める当該条例の趣旨、文言によって決せられるものであって、これを一律に論ずることはできないとした事例

4、1掲記の条例9条6号に基づき、環境影響評価審議会がした会議録の非開示議決が、審議終了後も含め全面的に非開示を定めたからといって、その判断が合理性を持つ判断として許容される限度を超えたものとはいえないとした事例

5、1掲記の条例5条1号に基づき、日本鉄道建設公団東京支社による京葉線新砂町・東京間鉄道建設事業に係る環境影響評価審議会の第一部会の審議過程を記載した会議録及び同部会に提出された審議資料等の開示を求める請求に対し、右請求に係る各文書について同条例9条6号前段に規定する非開示の議決が存することを理由として都知事がした非開示決定処分の取消しを求める請求が、右決定のうち、右審議会の非開示の議決が存する議事録について非開示とする部分は適法であるが、その他の文書については、右審議会の非開示の議決の存在が認められないから、これらを非開示とする部分は違法であるとして、右会議録を除く同部会の審議資料等の非開示決定処分の取消しを求める限度で認容された事例

【掲載誌】  行政事件裁判例集41巻9号1433頁