東京高等裁判所判決令和元年10月17日
株主総会決議不存在確認等請求控訴事件
【判示事項】 1 議決権行使の有効性の判断と意思表示や代理等の民法の原則の適用
2 法人株主の使用人が総会会場に入場したとしても、事前の書面による議決権の行使が撤回されたものと認めることはできないとされた事例
3 決議の成立時点
4 被選任者の辞任と取締役選任決議不存在確認および取消訴訟の訴えの利益
【判決要旨】 1 議決権の行使は、議案に対する株主の意見の表明であるから、意思表示に準じて考えるべきであって、議決権行使の有効性の判断について意思表示や代理等の民法の原則の適用を一般的に排除する理由はない。
2 総会会場に入場した法人株主の使用人が、当該法人株主から議決権行使の権限を授与されておらず、議案に対する投票の際、会社の担当者に対してその旨を説明しており、会社においても当該法人株主が議決権行使書と異なる内容で議決権を行使する意思を有していないことは明らかであったといえる状況においては、事前の書面による議決権の行使が撤回されたものと認めることはできない。
3 株主総会の決議は、定款に別段の定めがない限り、その議案に対する賛成の議決権数が決議に必要な数に達したことが明白になった時に成立するものと解すべきであって、必ずしも、挙手・起立・投票などの採決の手続をとることを要するものではないから、投票という表決手続を採った場合も含めて、議長の宣言は決議の成立要件ではなく、決議は、会社が株主の投票を集計し、決議結果を認識し得る状態となった時点で成立すると解すべきである。
4 取締役選任決議により選任された者が取締役を辞任した以上、当該決議が存在しないことの確認を求める訴えおよび当該決議の取消しを求める訴えについては、特段の事情のない限り、訴えの利益が失われる。
【参照条文】 会社法309
会社法310
会社法830
会社法831
【掲載誌】 金融・商事判例1582号30頁