高等海難審判庁の裁決の取消訴訟における右裁決の事実認定の拘束力 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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最高裁判所第2小法廷判決昭和47年4月21日

裁決取消請求事件

りつちもんど丸事件

【判示事項】 1、高等海難審判庁の裁決の取消訴訟における右裁決の事実認定の拘束力

 2、船舶衝突海難事件における船舶の衝突地点に関する認定につき、沈没地点との関係において理由齟齬ないし理由不備の違法があるとされた事例

3、海難事件における船舶の針路の設定に採証法則違背があるとされた事例

【判決要旨】 1、高等海難審判庁の裁決に取消訴訟において、右裁決における事実の認定は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律80条、81条、電波法99条のような規定(実質的証拠の原則)がない以上、事実審たる裁判所を拘束するものではない。

2、約17ノットの速力で航行中の甲船(総トン数954七トン)と約8・5ノットの速力で航行中の乙船(総トン数238トン)とが衝突したという海難事件において、甲船の船首が乙船の右舷船尾から約4メートル前方に、前方からほぼ75度の角度で衝突し、乙船は、船尾を圧壊され、衝突と同じに機関が停止し、自力で航行する能力を失っていたけれども、衝突直後なお行き足があり、甲船の船尾方向に急速に移動して行ったとしながら、特段の事情を判示することなく、乙船が、衝突地点からみて衝突時の船首方向から約6度半右に振った方向ないしそれよりもさらに左の方向に、直線距離で680メートル以上離れた地点で沈没したとする認定には、乙船の沈没地点との関係において、両船の衝突地点に関する認定に理由齟齬ないし理由不備の違法がある。

3、船舶衝突海難事件において、一定時刻の測定船位を基点とし、用紙の時刻目盛とコースペンとが正確に装着されていないコースレコードにつき、一定の時差があるものと認定したうえで、その機械的記録を証拠として右測定船位から衝突地点までの船の針路を認定した場合に、右測定船位を基点とし、コースレコードに設定どおりの時差があるものとして認定されていない部分の航跡を求めると、同船が港外に出るためには防波堤を突破することになるという不合理な結果を生ずるときは、右針路の認定には、採証法則を誤った違法がある。

【参照条文】 海難審判法4

       海難審判法53

       海難審判法56

       行政事件訴訟法7

       民事訴訟法395

       民事訴訟法394

【掲載誌】  最高裁判所民事判例集26巻3号567頁