東京高等裁判所判決令和元年11月28日
正社員の地位確認等本訴請求,損害賠償反訴請求,雇用関係不存在確認請求控訴事件
ジャパンビジネスラボ事件
【判示事項】 1 控訴人兼被控訴人(甲事件1審本訴被告・反訴原告,乙事件1審原告)Y社の雇用形態は,「正社員」と「契約社員」が明確に区分され,被控訴人兼控訴人(甲事件1審本訴原告・反訴被告,乙事件1審被告)XとY社が取り交わした「雇用契約書」の記載からすると,雇用形態のうち,「正社員」でなく「契約社員(1年更新)」が選択され,新たに「契約社員」として期間1年とする有期労働契約が締結されたものとされた例
2 Xは,雇用形態として選択の対象とされていた中から正社員ではなく契約社員を選択し,Y社との間で雇用契約書を取り交わし,契約社員として期間を1年更新とする有期労働契約を締結したものであるから,これにより,本件正社員契約を解約したものと認められた例
3 本件合意には,Xの自由な意思に基づいてしたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するものといえるので,本件合意は,均等法9条や育介法10条の「不利益な取扱い」には当たらないとした1審判断が維持された例
4 本件合意に至る経緯,Y社による雇用形態等の説明に照らし,本件合意は,Xの自由な意思に基づいてされたものと認める合理的な理由が客観的に存在するとした1審判断が維持された例
5 本件合意には錯誤はないとした1審判断が維持された例
6 本件合意は,Xが正社員への復帰を希望することを停止条件とする無期労働契約の締結を含むものではないとされた例
7 契約社員について,本件契約社員契約の締結時において,契約社員が正社員に戻ることを希望した場合に,速やかに正社員に復帰させる合意があったとはいえないとされた例
8 Xは,Y社代表者の命令に反し,自己がした誓約にも反して,執務室における録音を繰り返したうえ,マスコミ等の外部関係者らに対し,あえて事実とは異なる情報を提供し,Y社の名誉,信用を毀損するおそれがある行為に及び,Y社との信頼関係を破壊する行為に終始しており,かつ反省の念を示しているものでもないから,雇用の継続を期待できない十分な事由があるものと認められるとして,1審判断を変更し,本件雇止めは,客観的に合理的な理由を有し,社会通念上相当であるとされた例
9 Y社が,Xに付与した業務用のメールアドレスに送信されたX宛てのメールを閲読し,そのメールを送信した社外の第3者らに対し,Xが就業規則違反と情報漏洩のため自宅待機処分となった旨を記載したメールを送信したことは,Xのプライバシーを侵害する行為であり,不法行為が成立するとして,Xの損害額は5万5000円が相当であるとされた例
10 Xが,本件甲事件本訴を提起した日に行った本件記者会見における発言に基づく報道は,語学スクールを経営するY社があたかも マタニティハラスメント企業であるような印象を与えて社会的評価を低下させるものであり,報道によってY社の受けた影響は小さくないが,本件に現れた一切の事情を考慮すると,55万円の限りで,Y社のXに対する損害賠償請求が認められるとされた例
【掲載誌】 労働判例1215号5頁