控訴審が重要な書証の成立について第一審の判断を覆す場合にその署名部分の筆跡鑑定の申出をするかどうかについて釈明権の行使を怠った違法があるとされた事例
最高裁判所第1小法廷判決平成8年2月22日
『平成8年重要判例解説』民事訴訟法事件
抵当権順位変更登記抹消登記手続請求事件
【判示事項】 控訴審が重要な書証の成立について第一審の判断を覆す場合にその署名部分の筆跡鑑定の申出をするかどうかについて釈明権の行使を怠った違法があるとされた事例
【判決要旨】 第一審が重要な書証の署名部分について書証を提出した当事者の筆跡鑑定の申出を採用することなくその部分が真正に成立したものと認めていた場合に、右署名の筆跡とその名義人が宣誓書にした署名の筆跡とが明らかに異なると断定することができないなど判示の事情の下においては、控訴審が改めて筆跡鑑定の申出をするかどうかについて釈明権を行使することなく第一審の判断を覆したことには、釈明権の行使を怠った違法がある。
【参照条文】 民事訴訟法127
民事訴訟法301
民事訴訟法325
民事訴訟法327
【掲載誌】 最高裁判所裁判集民事178号265頁
裁判所時報1166号47頁
判例タイムズ903号108頁