違法な仮差押命令の申立てと債務者がその後に債務者と第三債務者との間で新たな取引が行われなくなったことにより喪失したと主張する得べかりし利益の損害との間に相当因果関係がないとされた事例
最高裁判所第1小法廷判決平成31年3月7日
『令和元年重要判例解説』民法5事件
売買代金請求本訴,損害賠償請求反訴事件
【判示事項】 違法な仮差押命令の申立てと債務者がその後に債務者と第三債務者との間で新たな取引が行われなくなったことにより喪失したと主張する得べかりし利益の損害との間に相当因果関係がないとされた事例
【判決要旨】 債権の仮差押命令の申立てが債務者に対する不法行為となる場合において、上記仮差押命令の申立ての後に債務者と第三債務者との間で新たな取引が行われなくなったとしても、次の(1)、(2)など判示の事情のもとにおいては、上記不法行為と債務者がその後に債務者と第三債務者との間で新たな取引が行われなくなったことにより喪失したと主張する得べかりし利益の損害との間に相当因果関係があるということはできない。
(1) 債務者は、1年4カ月間に7回にわたり第三債務者との間で商品の売買取引を行ったが、両者の間で商品の売買取引を継続的に行う旨の合意があったことはうかがわれず、債務者において両者間の商品の売買取引が将来にわたって反復継続して行われるものと期待できるだけの事情があったとはいえない。
(2) 上記仮差押命令の執行は、上記仮差押命令が第三債務者に送達された日の5日後に取り消され、その頃、第三債務者に対してその旨の通知がされており、第三債務者が債務者に新たな商品の発注を行わない理由として上記仮差押命令の執行をとくに挙げていたという事情もうかがわれない。
【参照条文】 民法416
民法709
【掲載誌】 裁判所時報1719号4頁
判例タイムズ1462号13頁