最高裁判所第1小法廷判決平成22年10月14日
雇用関係存在確認等請求事件
『平成22年重要判例解説』民事訴訟法2事件
【判示事項】 法人であるYから定年により職を解く旨の辞令を受けた職員であるXがYに対し雇用契約上の地位確認及び賃金等の支払を求める訴訟において,控訴審が,X,Yともに主張していない法律構成である信義則違反の点についてXに主張するか否かを明らかにするよう促すとともにYに十分な反論及び反証の機会を与える措置をとることなく,Yは定年退職の告知の時から1年を経過するまでは賃金支払義務との関係では信義則上定年退職の効果を主張することができないと判断したことに釈明権の行使を怠った違法があるとされた事例
【判決要旨】 法人であるYから定年規程所定の65歳の定年により職を解く旨の辞令を受けた職員であるXが,Yとの間でXの定年を80歳とする旨の合意があったと主張して,Yに対し雇用契約上の地位確認及び賃金等の支払を求める訴訟において,次の(1),(2)のような訴訟の経過の下では,控訴審が,X,Yともに主張していない法律構成である信義則違反の点についてXに主張するか否かを明らかにするよう促すとともにYに十分な反論及び反証の機会を与える措置をとることなく,Yは定年退職の告知の時から1年を経過するまでは賃金支払義務との関係では信義則上定年規程による定年退職の効果を主張することができないと判断したことには,釈明権の行使を怠った違法がある。
(1) 第1審は,弁論準備手続期日において本件の争点が上記合意の存否である旨を確認し,口頭弁論期日におけるその結果の陳述を経た上,X本人尋問及び証人尋問を行い,上記合意があったとは認められないとしてXの請求を棄却する旨の判決をした。
(2) 控訴審は,第1回口頭弁論期日において口頭弁論を終結したところ,同期日において陳述された控訴理由もそれに対する答弁も,専ら上記合意の存否に関するものであった。
【参照条文】 民事訴訟法149
民法1-2
【掲載誌】 最高裁判所裁判集民事235号1頁
裁判所時報1517号282頁
判例タイムズ1337号105頁