通勤災害―介護目的での通勤経路逸脱中の事故 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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大阪高等裁判所判決平成19年4月18日

『平成19年重要判例解説』労働法5事件

国・羽曳野労基署長事件

労働者災害補償保険給付不支給決定処分取消請求控訴

【判示事項】 (1) 一審原告(被災労働者)が勤務終了後,身体障害者の義父を介護するために勤務先の事業場から義父宅へ移動した行為は,業務の終了により事業場から当該労働者の住居へ最終的に向かうために行われたものであり,労災保険法7条2項にいう「就業に関し」の要件を満たすとした一審判決が維持された例

       (2) 一審原告が,退勤途中に,妻や義兄が介護できない時間帯に身体障害者の義父を在宅介護する行為は,「労働者本人又はその家族の衣,食,保健,衛生など家庭生活を営むうえでの必要な行為」であり,労災保険法施行規則8条1号の「日用品の購入その他これに準ずる行為」にはこのような行為も含まれるとして,一審原告が,義父を介護するために退勤経路を逸脱して義父宅に赴いた行為は,労災保険法7条3項ただし書の「日常生活上必要な行為であって厚生労働省令で定めるものを行うためにしたもの」とした一審判決が維持された例

       (3) 労災保険法施行規則8条1号にいう「日用品の購入その他これに準ずる行為」に該当するか否かは社会常識に照らして判断されるベきであり,時代の変化に応じてこれに該当すると解釈することも許されるとして,一審原告の義父に対する在宅介護が,上記規則にいう「日用品の購入その他これに準ずる行為」に該当するとされた例

       (4) 勤務終了後,身体障害者の義父を在宅介護するために,自宅と勤務先事業場間の合理的な通勤経路を外れて義父宅に立ち寄り,介護を終えて帰宅する途中,復路の経路上の交差点で原動機付自転車と衝突し,頭蓋骨骨折,脳挫傷などの傷害を被った災害が,労災保険法7条1項2号の通勤災害に該当するとされた例

【掲載誌】  労働判例937号14頁

       労働経済判例速報1985号8頁