最高裁判所第3小法廷判決平成20年12月16日
動産引渡等請求事件
【判示事項】 いわゆるフルペイアウト方式によるファイナンス・リース契約中の,ユーザーについて民事再生手続開始の申立てがあったことを契約の解除事由とする旨の特約の効力
【判決要旨】 いわゆるフルペイアウト方式によるファイナンス・リース契約中の,ユーザーについて民事再生手続開始の申立てがあったことを契約の解除事由とする旨の特約は,無効である。(補足意見がある。)
【参照条文】 民法91
民法540-1
民法601
民事再生法1
【掲載誌】 最高裁判所民事判例集62巻10号2561頁
判例タイムズ1295号183頁
金融・商事判例1308号40頁
金融・商事判例1319号45頁
判例時報2040号16頁
金融法務事情1869号42頁
本件リース契約は,いわゆるフルペイアウト方式のファイナンス・リース契約であり,本件特約に定める解除事由には民事再生手続開始の申立てがあったことも含まれるというのであるが,少なくとも,本件特約のうち,民事再生手続開始の申立てがあったことを解除事由とする部分は,民事再生手続の趣旨,目的に反するものとして無効と解するのが相当である。その理由は,次のとおりである。
民事再生手続は,経済的に窮境にある債務者について,その財産を一体として維持し,全債権者の多数の同意を得るなどして定められた再生計画に基づき,債務者と全債権者との間の民事上の権利関係を調整し,債務者の事業又は経済生活の再生を図るものであり(民事再生法1条参照),担保の目的物も民事再生手続の対象となる責任財産に含まれる。
ファイナンス・リース契約におけるリース物件は,リース料が支払われない場合には,リース業者においてリース契約を解除してリース物件の返還を求め,その交換価値によって未払リース料や規定損害金の弁済を受けるという担保としての意義を有するものであるが,同契約において,民事再生手続開始の申立てがあったことを解除事由とする特約による解除を認めることは,このような担保としての意義を有するにとどまるリース物件を,一債権者と債務者との間の事前の合意により,民事再生手続開始前に債務者の責任財産から逸出させ,民事再生手続の中で債務者の事業等におけるリース物件の必要性に応じた対応をする機会を失わせることを認めることにほかならないから,民事再生手続の趣旨,目的に反することは明らかというべきである。
4 以上によれば,民事再生手続開始の申立てがあったことを本件リース契約の解除事由とする特約を無効とし,これに基づく本件解除は効力を生じないとした原審の判断は是認することができる。論旨は採用することができない。