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更生手続開始後に定年退職によって発生する退職手当請求権が、会社更生法127条2号にいう共益債権に該当するか(消極)

 

東京高等裁判所決定平成22年11月10日

債権差押命令に対する執行抗告事件

『平成23年重要判例解説』民事訴訟法11事件

【判示事項】 更生手続開始後に定年退職によって発生する退職手当請求権が、会社更生法127条2号にいう共益債権に該当するか(消極)

【判決要旨】 更生手続開始後に定年退職によって発生する退職手当請求権については、更生手続開始前にその発生原因が生じたものであることは明らかであり、実質的にみても定年退職は更生債権者等に対する計画弁済を増加させる可能性があるものとはいえず、更生会社の更生に向けた事業の経営並びに財産管理および処分に関する費用とは言い難いものであること、また、これを全額共益債権と認めることは、更生手続の開始の前後という偶然の要素を排除して、退職した労働者の公平な保護を図ろうとした会社更生法130条2項の趣旨に反するものでもあることから、会社更生法127条2号にいう共益債権には該当しない。

【参照条文】 会社更生法50-1

       会社更生法24-1

       会社更生法127

       会社更生法130-2

       会社更生法130-4

       民法306

       民法308

       会社更生法168-1

【掲載誌】  金融・商事判例1358号22頁