『国際経済法講座Ⅰ通商・投資・競争』 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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『国際経済法講座Ⅰ通商・投資・競争』
法律文化社
上記書籍のうち、以下の部分を読み終えました。
Ⅰ 総論
1、国際経済法の概念
以下は、私見である。
経済法というと、独占禁止法(公正競争法)を連想するが、本書の副題からわかるとおり、「国際経済法」の分野は、競争法の分野には限定されない。
むしろ、「国家間の通商法」(貿易、投資、金融、公正競争に関する法などを含む)が上位概念のようである。
また、国際的な私法的取引の手段として、売買、決済手段としての為替・手形・貨物運送証券・信用状などの国際的な統一規則を含む「国際取引法」として考えることができる。
国際経済法の対象として、参考となる実例は、域内に関するEU法である。
EU法が、単一の外交・政治・安全保障・通貨・経済共同体の下で、EU構成国間の人間・労働・サービス、財物、金銭・金融の移動および統合・同一条件下を保障している。
なお、EU法の以前のモデルとなるのは、
自由貿易共同体(例えば、EC,EFTA,NAFTA,LAFTA、ASEANなど)、
通貨ブロック共同体・経済圏
(アメリカ=ドル、イギリス=ポンド、フランス=フラン、ドイツ=マルク、イタリア=リラ、スペイン=ペソなど)などであった。
これに対して、国際経済法の対象として、考え得るのは、以下のような分野である。
国家間の財政・貿易・通商・投資・信用、
天然資源・エネルギーの所有と開発、
財物の生産・分配、
銀行協定による規制
経済・金融の国際的な取引,
国際会計基準、
公的債務の商業化、
国際競争法、
労働者の移動、
労働・サービス・資格の自由化、
交通の自由、
貨物・旅客の運輸の自由(陸上、河川海上、航空、宇宙)、
知的財産権、
国際環境法のうち、ことに排出権取引・核や化学物質などで汚染された物質の廃棄など
国際租税法(税法の問題は、人・役務・金銭・財物などの移動などにより必然的に生じる)、
など
国際通商の課題とされるのは、どの国家またはNGOが、いつ、どの条約・国際的ルールなどによって、異なり得る。
例えば、一昔前は、知的財産権(工業所有権、著作権法、不正競争防止法など)の国際的調和・統一が問題とされていたが、現在では、工業所有権(特許、商標、意匠など)に関しては、先進国間では大部分が解決済みである。

Ⅱ 国際通商法
3 サービスの貿易自由化と規制緩和
 EU法が域内自由化の良い具体例である。
5 農業協定の解釈
 補助金・反ダンピング課税など、関税以外の非関税障壁など。

Ⅳ 国際投資法
15 国際投資法の発展
16 公正衡平基準と国際投資保護
17 収用・国有化
18 外資規制と国際法

Ⅴ 国際競争法(独占禁止法)
19 国際企業結合と域外適用
20 国際カルテルと域外適用
21 国際投資と競争政策
24 東アジアの競争法
1)アメリカ法の競争法の考え方の背景
2)台湾
3)韓国
4)中国