大垣尚司『金融と法』
有斐閣、2013年
金融用語やその定義、法律的な制度などに正確に説明している。
約580ページもあり、通読するのは難しいが、関連項目もまとめて掲載されているので、辞書代わりに使える。
ただし、既に再建型倒産手続になった金融機関(日本振興銀行など)が挙げられており、今となっては、そのビジネスモデルまたは管理面に疑問があることが判明し、オウトオブデートになった個所も見受けられた。
「倒産隔離」の問題もありますが、不完全型のスキームでは、オフバランスできない点について留意されたい。
J-REITで上場していた会社が法的倒産した実例についても、言及されたい。
ヴェンチャーキャピタル、投資ファンド、再生ファンドについては、もっと詳しい記述が望まれる。
なお、倒産法について誤解が見受けられ、民法改正についての論述は少ない。
企業会計上の「オフバランス化」についての昔の手法も集大成されていますが、現在では、会計基準が変わって、使えない手法となっています。
「現在の会計面・法律から見て、なぜ使えないのか」という理由づけまで言及されればベターだと思います。
上記書籍を読み終えました。
なお、会社法の手法(株式、募集株式等の発行等)は、読むのを省略しました。
序章
金融に関する参考文献
金融の法律に関する書籍が少ないことが分かる。
なお、本屋に行けば明らかなとおり、金融の経済的側面に関する書籍は多数ある。
第3章 金融の基本概念
2 財務レバレッジ
第5章 会社の起業における株式への出資と「出口戦略」
IPO(株式上場)など
投資側からの会社への優先・劣後の株式・貸付金・社債
第7章 デット・ファイナンス
7 融資枠契約(コミットメントライン)
第9章 間接金融、金融機関
4 協同組合形式の金融機関
全国農業協同組合連合会、全国信用金庫連合会などの地方の協同組合の連合・上位組織の果たす機能(例えば、金銭の与信の流れとして、全国協同組合→地方の協同組合への与信→協同組合員、保険と再保険など)が不十分なようである。
商工中央金庫、労働金庫などの役割・機能について記述が薄い。
共済形式の金融機関
第10章 市場型デットファイナンス、社債
第11章 市場型間接金融、シンジケートローン
第12章 市場型間接金融、ローンセール、不良債権処理
1 ローンセール
2 古典的ローンセール
3 BIS規制対策とオフバランス化
4 不良債権処理
5 正常債権の売買
6 クレジット・トレーディング
第13章・第14章 市場型間接金融、投資ファンド
デット(債務)以外の資金調達手法
このコラムで信託の受益権を挙げているのは正しいが、信託は信託財産が存在してこそ成立するのだから、単純な無担保債務とは類似していない。
SPV
リコース
ノンリコース
住宅ローン
証券化
資産の流動化
銀行のBIS基準
オフショア市場
ユーロマネー
オフバランス
第13章 市場型間接金融、投資ファンドと投資理論
投資理論
投資理論は統計的・数学的モデルなので、難しい。
投資ファンド
第14章 投資ファンドと投資形態(ヴィークル)
金融商品取引法
信託
投資法人法
組合型
投資事業有限責任組合
特定不動産共同事業法
匿名組合
変額保険・変額年金→現在は、業績連動型保険