東京地方裁判所の民事部と専門化
東京地方裁判所は、民事部ごとに専門化している。
・通常民事部は、以下のような事件を取り扱っている。
不動産事件、
貸金などの債権回収
消費者法
インターネット
保険、金融商品取引、先物取引などの損害賠償請求訴訟
国家賠償法
国際取引
・民事保全(仮差押・仮処分)・DV保護事件・人身保護請求事件(民事9部)
なお、人身保護請求事件は、一般の民事事件と異なり、高等裁判所にも、第1審としての競合的管轄がある。
・民事調停(民事第22部)
もっとも、民事調停・特定調停は、原則として、簡易裁判所の管轄である。
借地非訟(民事第22部)
建築紛争(民事第22部)
・民事執行(民事第21部)
・倒産法のうち破産、民事再生(民事第20部)
・倒産法のうち会社更生、特別清算(民事第8部)
・労働事件
民事4か部
・民事交通事故訴訟(民事第27部)
労働者災害民事訴訟(民事第27部)
なお、労働者災害補償保険法に関係する行政訴訟は行政部で扱われている。
・会社法(民事第8部)、会社訴訟、株主代表訴訟、商事仮処分、会社非訟
・独占禁止法(民事第8部)
・手形・小切手
昔は民事第8部(商事部)で扱っていたが、現在では、専門性がそれほど高くないとして、通常民事部で扱われている。
・行政法
民事3か部
行政一般、出入国管理及び難民認定法、租税法、地方自治、選挙・議会、厚生・福祉、環境、運輸行政などである。
・知的財産権(特許権・著作権など)侵害訴訟
民事4か部
ただし、特許庁などに対する審決取消訴訟の第1審は、知的財産高等裁判所である。
知的財産権(特許権・著作権など)侵害訴訟の控訴審は、知的財産高等裁判所である。
・医療過誤損害賠償請求訴訟
民事2か部
東京家庭裁判所
・離婚・離縁など人事訴訟事件が地方裁判所の管轄であった時代は、一時期、東京地方裁判所民事第1部で集中して扱っていた時期もあったが、現在では、家庭裁判所の管轄である。
・相続に関する調停・審判事件は、家庭裁判所家事5部が専門部である。
・大阪地法裁判所
担当する民事部の名称は異なるが、おおむね東京地方裁判所と同じである。
また、大阪地法裁判所では、 倒産法の全て(破産、民事再生、会社更生、特別清算)を同じ民事部が扱う(第6民事部)
また、東京地方裁判所と違って、 保険、金融商品取引、先物取引などの金融関係の損害賠償請求訴訟の集中部が存在していた。