私が読んだ行政法の本 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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私が読んだ行政法の本

私の感想では、行政事件訴訟法の2004年改正後に多数説となった塩野、宇賀、藤田(この3人の学説は東京大学学派の中で考え方が近い)などのテキストを読んで、行政法判例百選を読めば、十分であろう。

〔基本書〕
塩野宏『行政法I・II・III』有斐閣(2012年)
多数説の地位を得つつある。
論述は、ややあっさりしているので、頭の良い人向け。
著者は元・東京大学教授。
定番の基本書である。
なお、IIIは行政組織法、地方自治法、公務員法・公物法。


宇賀克也『行政法概説1・2・3』有斐閣(2012年)
章のはじめにポイントを示し、重要度によって文字のサイズを変えたりと読みやすく工夫されている。
判例や学説を網羅している。
ただし、発行年のせいか、意外と重要な判例(特に憲法に関する判例)や近時の下級審裁判例が掲載されていなかったりする。
判例・学説の体系的なデータ整理がされている。
論述は、塩野より平易でわかりやすい。
著者は東京大学出身で元・東北大学教授のため、学説としては、塩野説・藤田説に近い。
宇賀『地方自治法概説』有斐閣(2013年)


原田尚彦『行政法要論』学陽書房(2012年)
簡潔にして要を得ている。
従来の判例・通説に対して、自説を主張している部分が多いが、問題点への分析は鋭く、論旨明快。
ページ数が少ないため、情報量が少なく、判例の収録数がやや少ない。


藤田宙靖『行政法総論』青林書院(2013年)(行政救済法を含む)、
『行政組織法』有斐閣(2005年)
著者は東京大学出身のため、学説としては、塩野説・宇賀説に近い。
元・東北大法学部長。元・最高裁判事(2010年退官)。
論述の構成は、
(1)伝統的通説(田中説)を紹介、
(2)従来の議論の意義・有用性・各種の問題点を紹介、
(3)自説、近時の有力学説を紹介
藤田宙靖『行政法入門』有斐閣(2013年)口語体の入門書。1日で読める。


阿部泰隆『行政法解釈学I・II』有斐閣(2008年ー2009年)
当時の判例・通説に反対していた説。


田中二郎『新版行政法(上)』弘文堂(1974年4月-1987年2月)
現在では、田中説は「伝統的通説」と位置づけられる。
実務上の影響力は今なお強い。
元・東京大学名誉教授、元・最高裁判所裁判官。


司法研修所編『行政事件訴訟の一般的問題に関する実務的研究』法曹会(2000年)
裁判官用行政訴訟実務マニュアル。
行政事件訴訟法の改正に未対応。
司法修習生になったら読むべき本である。


【参考書】
(塩野、宇賀などの主なテキストで少数有力説として引用されている本)
芝池義一『行政法読本』有斐閣(2013年)
『行政法総論講義』有斐閣(2006年)
『行政救済法講義』有斐閣(2006年)
元・京都大学教授。
従来の学説が論じてこなかった論点を埋める際には、独自説を採っている。


小早川光郎『行政法上、行政法講義下I・II・III』弘文堂(1999年ー2007年)
行政法学の第一人者の一人であった方だが、本書は未完であり、上も改訂されていない。


〔判例集〕
『行政判例百選I・II』有斐閣(2012年)
収録判例数が約250件。必読。


〔演習〕
吉野夏己『紛争類型別 行政救済法』成文堂(2012年)
具体的ば行政法ごとに判例をベースにして、分類されており、紛争類型をイメージしやすい。


〔行政法各論〕
亘理格、北村喜宣編著『重要判例とともに読み解く 個別行政法』有斐閣(2013年)
個別行政法の概要を知るためには良い。


安本典夫『都市法概説』法律文化社(2013年)
都市法をテーマに法解説から紛争処理制度まで概観。
とかく抽象的な議論に偏りがちな行政法を具体的に理解する手助けとなるだろう。