山川隆一『条文から学ぶ労働法』 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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山川隆一『条文から学ぶ労働法』
有斐閣、2011年
上記書籍のうち、以下の部分を読み終えました。
第3章 会社分割に伴う労働契約承継法
・会社分割に伴う労働契約承継法
 なお、同法附則4条参照。
・平成12年改正(旧)商法附則7条
第4章 公益者通報保護法
・通報先は、労務提供先、行政機関、外部機関(メディアなど)がある。
 労務提供先に対する通報よりも、後2者に対する通報が許される要件は若干過重されている。
 労務提供先には、直接の雇用者、派遣先、労務を提供している外部の取引先(ただし、下請業者のように、下請業者自体が勤務先となっているので、労務を提供していない場合を除く。)がある。
・公益情報を通報した者に対する不利益処分をすることは同法では刑事罰の対象とされていないが、労働法(例えば、労働基準法など)や原子炉等規制法などの個別法には実例がある。
第5章 労働者災害補償保険法
・職業性疾病
 ちなみに、本書では紹介されていないが、チェーンソーによる白ろう病が最高裁で労働災害と認められてから、職業性疾病と認定されている。
・健康診断の費用
 労災保険法では、二次健康診断の費用が支給されるが、労働安全衛生法66条1項の一次健康診断の費用は労働者または健康保険の負担となる。
・通勤災害
 通勤災害について、本書では紹介されていないが、介護を要する親類の家を労働者が経由した事例で、通勤途中と認めなかった裁判例もある。
・労災保険の特別加入制度
 本書では特に指摘されていないが、労災保険に特別加入できる個人事業者・一人親方などの業種などには限定があり、立法上の不備となっている。