プログラムの著作物と映画の著作物 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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第9 プログラムの著作物、映画の著作物

ゲームソフトのように、映画の著作物であると同時に、プログラムの著作物にも該当するものがある。

私的利用と著作権(43条1号、30条1項、113条2項)、

著作権制限規定と著作権法50条、

プログラムの著作物の翻案と同一性保持権(20条1項3号)、氏名表示権(19条1項)

 著作権の制限 

(私的使用のための複製)

第30条1項  著作権の目的となっている著作物(以下「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。

  公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器(複製の機能を有し、これに関する装置の全部又は主要な部分が自動化されている機器をいう。)を用いて複製する場合

  技術的保護手段の回避(第2条第1項第20号に規定する信号の除去若しくは改変(記録又は送信の方式の変換に伴う技術的な制約による除去又は改変を除く。)を行うこと又は同号に規定する特定の変換を必要とするよう変換された著作物、実演、レコード・放送・有線放送に係る音・影像の復元(著作権等を有する者の意思に基づいて行われるものを除く。)を行うことにより、当該技術的保護手段によって防止される行為を可能とし、又は当該技術的保護手段によって抑止される行為の結果に障害を生じないようにすることをいう。第120条の2第1号及び第2号において同じ。)により可能となり、又はその結果に障害が生じないようになった複製を、その事実を知りながら行う場合

  著作権を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であって、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものを含む。)を受信して行うデジタル方式の録音・録画を、その事実を知りながら行う場合

  私的使用を目的として、デジタル方式の録音・録画の機能を有する機器(放送の業務のための特別の性能その他の私的使用に通常供されない特別の性能を有するもの及び録音機能付きの電話機その他の本来の機能に附属する機能として録音・録画の機能を有するものを除く。)であって政令で定めるものにより、当該機器によるデジタル方式の録音・録画の用に供される記録媒体であって政令で定めるものに録音・録画を行う者は、相当な額の補償金(私的録音録画補償金。著作権法104条の2以下)を著作権者に支払わなければならない。


(翻訳、翻案等による利用)

第43条  次の各号に掲げる規定により著作物を利用することができる場合には、当該各号に掲げる方法により、当該著作物を当該各号に掲げる規定に従って利用することができる。

  第30条第1項、第33条第1項(同条第4項において準用する場合を含む。)、第34条第1項又は第35条 翻訳、編曲、変形又は翻案

  第31条第1項第1号若しくは第3項後段、第32条、第36条、第37条第1項若しくは第2項、第39条第1項、第40条第2項、第41条又は第42条 翻訳

  第33条の2第1項 変形又は翻案

  第37条第3項 翻訳、変形又は翻案

  第37条の2 翻訳又は翻案

最高裁平成13・2・13民集第55187頁(ときめきメモリアル事件)

1 パラメータにより主人公の人物像が表現され,その変化に応じてストーリーが展開されるゲームソフトについて,パラメータを本来ならばあり得ない高数値に置き換えるメモリーカードの使用によって,主人公の人物像が改変され,その結果,上記ゲームソフトのストーリーが本来予定された範囲を超えて展開されるなど判示の事実関係の下においては,当該メモリーカードの使用は,上記ゲームソフトを改変し,その著作者の有する同一性保持権(著作権法20条)を侵害する。

2 専らゲームソフトの改変のみを目的とするメモリーカードを輸入,販売し,他人の使用を意図して流通に置いた者は,他人の使用により,ゲームソフトの同一性保持権の侵害を惹起したものとして,ゲームソフトの著作者に対し,不法行為に基づく損害賠償責任を負う(著作権法第7章権利侵害,民法709条,民法719条)。