従業員の競業避止義務
在職中
従業員が在職中、使用者と競業避止義務を負うことは、通常、就業規則などで定められている。従業員は、使用者に対する忠実義務や職務専念義務から、使用者の利益に反する競業を行うことは認められないからである。
退職後の競業避止義務
・原則
これに対して、退職後、従業員は、職業選択の自由があるから、もと使用者と競業する行為を当然には禁止されない。
・営業秘密の場合
不正競争防止法2条6項に規定する「営業秘密」を不正に使用・開示などする行為は、不正競争とされ、損害賠償(不正競争防止法4条)、差止請求権(不正競争防止法5条)、刑事罰の対象となる。営業秘密は、技術上、営業上などで有用な情報で、秘密として、管理されているものをいう。具体的には、商品の製造方法(典型的には、例えば、コカコーラの製法)、顧客名簿などである。
・競業避止義務の特約
退職前または、退職に際して、退職後に競業を行わないという特約を、従業員と使用者で特約する場合がある。
裁判例は、従業員の職業選択の自由から、このような競業避止義務特約の有効性について厳しい態度を取る傾向がある。
裁判例において考慮されている要素として、以下のものが挙げられる。
① 退職時の従業員の地位・職種など
② 当該競業行為の内容
③ 競業行為が制限される期間(せいぜい3年間までと解されている。)
④ 競業行為が制限される地理的範囲
⑤ 代償措置(秘密手当や、他の従業員と比較して高給をもらっていたかなど)
⑥ 競業避止義務の特約を締結した経緯
などを考慮している。